カレントテラピー 34-2 サンプル

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Current Therapy 2016 Vol.34 No.2 9113た日本循環器学会のガイドライン(不整脈の非薬物治療ガイドライン)1)において,心房細動に対するカテーテルアブレーション治療にクラスⅠ適応(治療すべきである)が追加され,表のように表記された.カテーテルアブレーションは従前のガイドラインではクラスⅡ適応までに留まっていたことから,心房細動治療全体のなかであくまでも特殊な症例に対する例外的治療という印象を拭えずにいたが,2011年にクラスⅠ適応となったことによって大きく市民権を得たと考えて良いだろう.しかしこのガイドラインの中身をよく見てみると,薬剤抵抗性,有症候性および発作性といった制限がついており,特に症状のない場合には,クラスⅡbという低い適応になっている.さらに持続性心房細動に関してはクラスⅠには入っておらず,クラスⅡa以下の適応である.このように種々の制限をつけたうえで適応を呈示しているのは,いきすぎた適応の拡大や無謀な治療に歯止めをかける意味合いが大きいのであるが,このガイドラインは実際の現場でのニーズや治療実態とは必ずしもそぐわなくなってきている.Ⅲ 心房細動カテーテルアブレーションの治療成績それでは実際に心房細動がカテーテルアブレーションによってどの程度治るようになってきており,それは進行度とどのような関係にあるのかをみてみよう.心房細動はその早期段階ではPAFであり,その原因が肺静脈およびその周辺組織に限局しているためにカテーテル治療に適しており,90%以上の根治率が得られる.一方,心房細動が進行して持続性および長期持続性(慢性)になると,その原因は心房全体へと波及してしまうために根治率は60~70%程度に留まる2),3).この成績はこの数年間ほぼ横ばいであり,特に慢性心房細動における治療の限界を考慮すれば,今後も大きく変わることはないと思われる.治療成績は,手術を行うかどうかの判断に大きくかかわってくる重要な問題であり,治りやすいPAFと比して持続性心房細動の適応がガイドライン上,下位に位置していることの理由でもある.Ⅳ 現場での治療実態(J-CARAF調査の結果から)日本国内における心房細動カテーテルアブレーションの実情を調査する目的で,2011年よりJ-CARAF調査が施行されている.これは全例調査ではないものの,年間のうち1カ月間に治療を施行した心房細動アブレーション症例について登録票に基づいて報告をするものであり,現在のわが国の治療実態をかなり正確に反映している4).2015年の調査報告によると,治療が施行された患者の65.1%がPAF,34.9%が非PAFクラスⅠ1. 高度の左房拡大や高度の左室機能低下を認めず,かつ重症肺疾患のない薬物治療抵抗性の有症候性の発作性心房細動で,年間50例以上の心房細動アブレーションを実施している施設で行われる場合クラスⅡa1.薬物治療抵抗性の有症候性の発作性および持続性心房細動2.パイロットや公共交通機関の運転手など職業上制限となる場合3.薬物治療が有効であるが心房細動アブレーション治療を希望する場合クラスⅡb1. 高度の左房拡大や高度の左室機能低下を認める薬物治療抵抗性の有症候性の発作性および持続性心房細動2. 無症状あるいはQOLの著しい低下を伴わない発作性および持続性心房細動クラスⅢ1.左房内血栓が疑われる場合2.抗凝固療法が禁忌の場合表心房細動カテーテルアブレーションの適応(日本循環器学会ガイドライン)