カレントテラピー 34-3 サンプル

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48 Current Therapy 2016 Vol.34 No.3254は,認知機能健常からADに至るまで,20年以上かけてプレクリニカル期(preclinical AD),MCI dueto AD,ADという臨床病理上のプロセスを経ると考えられている(図1)5).そこで,プレクリニカル期やMCIで,早期に介入することの重要性が示唆されている.したがって目立った臨床症状がない時期に介入する必要があり,認知機能の低下やシナプスの損傷などが定量的に評価できるバイオマーカーと,予防効果のある介入方法の確立と提供が必要となる.近年,認知症予防の研究は進んでいる.有酸素運動が健常高齢者ならびにMCIの認知機能低下を防ぐことは,観察研究と介入研究で多くの研究成果が報告されている.ボードゲーム,読書,楽器の演奏,ダンスは認知症予防に効果があるといわれている.最近では2015年にフィンランドのグループがpreventcognitive decline in at-risk elderly people(FINGER)という研究プロジェクトで,2年間の大規模な複合的介入(食事・運動・認知力トレーニング・血管リスクモニタリング)によって,認知機能の低下予防ができることを示している.また,認知症の危険因子も明らかになっており,糖尿病ならびに耐糖能異常,中年期の高血圧症,喫煙などが知られている.認知症の予防には,まず危険因子を排除したうえで予防効果のある介入に取り組むのが効果的といえる.Ⅲ アルツハイマー病のバイオマーカーとAβシークエスタータンパク質早期のADやMCIの段階で見出し,治療・介入すれば,認知機能の改善と認知症の予防が期待されるが,その診断には詳細な問診・心理テスト,さらには脳画像検査を要する.したがって,血液中のバイオマーカーを用いた検査が必要となってくる.脊髄液(cerebrospinal fluid:CSF)中のAβやリン酸化tauタンパク質の測定は,ADの検査として有効であるが,髄液の採取は侵襲的であり,日常的な検査や健診に用いることは現実的ではない.MCIやADに至る認知機能の低下は,Aβの産生と排出(クリアランス)のバランスの異常の結果と考えてもよい.アミロイドプレカーサ-プロテイン(amyloidprecursor protein:APP)から産生されたAβは,脳内からCSFに排出される.私たちの体にはAβが脳内に蓄積しないよう排除する仕組みやその毒性を弱める仕組みが備わっている.脂質代謝に関連するアポリポタンパク質や免疫機能の補体タンパク質やトランスサイレチンなどが関係している(図2).MCIスクリーニング検査では,これらのタンパク質の血中量を調べている.アポリポタンパク質のapoE,apoA1およびapoJは,アポリポタンパク質神経細胞タンパク質アミロイドベータペプチド補体タンパク質トランスサイレチンアミロイドベータペプチドを排除する機能神経細胞に障害を与える図2Aβシークエスタータンパク質の働きADの発症機序にはAβが深く関与している(アミロイドカスケード仮説).Aβはシナプス毒性があり,神経細胞にダメージを与え,記憶や認知機能を担うシナプスを障害する.MCIやADに至る過程における認知機能の低下は,Aβの産生と排出(クリアランス)のバランスの異常とAβのシナプス毒性防御の低下の結果と考えられ,それを担っているタンパク質をAβシークエスタータンパク質という.MCIスクリーニング検査では,Aβシークエスタータンパク質apoA1, TTR,非活性型C3の血液中の濃度を測定している.