カレントテラピー 34-3 サンプル

カレントテラピー 34-3 サンプル page 20/32

電子ブックを開く

このページは カレントテラピー 34-3 サンプル の電子ブックに掲載されている20ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
カレントテラピー 34-3 サンプル

68 Current Therapy 2016 Vol.34 No.3274たけど,まだ幼い子供がいじめにあうことを考えてしまう」とも言っていた.公表するのは勇気がいることであるし,その勇気を周りは称え,支えていかなければならないと思う.安心して認知症になったと言える社会にしていきたいと切に願う.Ⅳ 現代の認知症医療や福祉に欠けている視点発足当時は医療の乏しさから発生した本会であったが,現在の状況は少し変わってきている.認知症の治療薬が承認され,早期に診断ができるようになって,診断後の本人がひとりでつどいに来ることもある.介護保険によってさまざまなサービスが選択できるようになったが,どこに相談に行けばいいかわからず迷ってくることもあるし,役所から勧められてきたという人も多い.診断直後の本人や家族は,認知症の診断を受けたというだけで途方に暮れ,医師や看護師の話もろくに耳に入らないままなのか,「病院では詳しく説明を受けなかった」という人がほとんどである.また,最近多いのは,「認知症の行動心理症状がひどくて介護施設に断られそうだ」,「ケアマネジャーに相談して複数の施設に行っているがどうも混乱しているようだ」,「施設に入所直後,職員から里心がつくので面会にしばらく来ないでほしいと言われてどうすれば」といった切なくなる相談である.医療や福祉の専門家として,このような相談があることを真摯に受け止めていきたいと思う.認知症の診断をした後のフォロー体制を各医療機関は整えるべきである.認知症疾患医療センターなどではある程度整備されつつあると思うが,現状では診療所や総合病院等で診断されることも多い.知っておくべきことは,認知症治療薬であるアリセプトR等は根治薬ではないので,あらわれている症状が内服により即座に消えるわけではないということと,薬の効果を最大限に発揮させるためには,本人の生活と家族のケア(考え方)が非常に重要だということである.ただ薬を飲ませても,さまざまな行動心理症状がでて生活が困難となり,それに対する対症療法で薬が増えて,副作用で苦しむことも少なくない.本人,家族のかかわりとしては,本人が記憶をどのように日常生活のなかでコントロールし,家族がそれをどのようにサポートするかが鍵なのである.そのためには,診断時から本人と家族にていねいな情報提供をしていくことが医療機関に求められることである.認知症の人に対するケアについては,医療や福祉の専門家にプロ意識をしっかりもってほしいと思う.認知症の行動心理症状に対しては,確かに対応が困難なケースもあるが,実際にはかかわり方を変え,環境調整を行うことで対応が可能となる.その対応を十分にしないままで,「暴力を振るわれるので通所サービスはお断りします」,「帰宅願望が強くなって収められないので面会にこないでください」などとは,プロとして言える言葉だろうか.プロならば,何らかの対応を工夫すべきである.家族が24時間対応している状況をプロが1日数時間のケアができないと投げ出すことが,家族をどれだけ傷つけ,困惑させるか考えてほしい.抑制を検討するということではない.抑制には,抑制帯やつなぎ服などによる身体抑制のほか,「~しないで」といった言語で行動を縛るスピーチロックも含まれる.また,外出しないよう通常以上に鍵をかけることは社会的行動の抑制でもある.介護保険の施設等では原則,身体抑制は禁止されているが,病院等では禁止にはなっていないため,多くの病院では4点柵やセンサーアラームが当然の如く,「家族に承諾を得て」行われている.時には一般病棟で体幹抑制ベルトが登場する.今では精神科病棟でもほとんど使われていない過去の遺物が,一般病棟で当然の如く使われている.「家族に承諾を得て」というのも難点だ.家族は入院,入所した時点で病院や施設に「看てもらう」弱者となる.いうことをきかなければ十分な治療もされずに追い出されるかもしれないので,「いうとおりに従う」=「承諾する」,のである.このことを踏まえ承諾を得る際には,プロとして真摯に丁重な説明と同意を得ていただきたい.抑制について強調したのは,都市部の主だった病院や施設では上記のようなことはすでに当たり前のこととなっているのだが,大都市圏にあってもそういう意識のな