カレントテラピー 34-3 サンプル

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Current Therapy 2016 Vol.34 No.3 83治療薬解説289持量を継続しながらメマンチンを追加していくほうが患者さんにとって益になると思われる.二つ目は,コリンエステラーゼ阻害薬が維持量に達した段階で易怒性などの有無にかかわらずにメマンチンの併用を開始する方法である.メマンチンには,アルツハイマー型認知症患者さんの経過中で攻撃性や興奮の新たな発現を抑制できるとのデータがみられることから,家族が困る周辺症状が出現する前から併用を行う方法である.高度アルツハイマー型認知症でおとなしいタイプには,保険適用上からまずドネペジルを開始する(図2).原則として5mgを経て10 mgへ増量を試みるが,消化器系副作用や頭痛などの副作用の出現で増量できない場合もあり得る.ドネペジル5mgあるいは10mgにメマンチンを併用する方法が最も望ましい選択肢かもしれない.重症度にかかわらず,家族が困る活発な周辺症状が目立つアルツハイマー型認知症には,メマンチンを第一選択薬とするか(メマンチンは中等度から高度に保険適用)他の抑制系の薬剤(抗てんかん薬あるいは抗精神病薬など)の使用を考慮するようにしたい(図3).そして,患者さんの行動や感情,言動の安定化が図れた後にコリンエステラーゼ阻害薬の併用を考えていくと患者さんや家族の益になることが多い.Ⅶ 抗認知症薬の変更をどうするかある抗認知症薬の効果が減退あるいは効果を期待できなくなったとき,他剤に変更する選択肢が考えられるが,変更の基準や目安に定説はない.特にコドネペジル5mgの開始服薬可能10mgに増量服薬可能服薬継続メマンチンの追加・併用服薬不可5mgにメマンチンの追加・併用服薬不可メマンチン開始服薬可能服薬継続服薬不可非薬物療法図2おとなしいアルツハイマー型認知症(初診,高度進展事例)コリンエステラーゼ阻害薬のいずれかを選択軽度の段階効果あり治療薬の継続効果なし他のコリンエステラーゼ阻害薬に変更中等度の段階効果あり治療薬の継続時期をみてメマンチンの追加・併用メマンチンの追加・併用効果なし他のコリンエステラーゼ阻害薬に変更効果あり治療薬の継続メマンチンの追加・併用効果なし図1おとなしいアルツハイマー型認知症(初診,軽度~中等度)