カレントテラピー 34-3 サンプル

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Current Therapy 2016 Vol.34 No.3 9215はコホート研究の報告が少なく,結論は得られていない.そこで久山町研究の成績を用いて,日本人における喫煙と認知症の問題を検討した1).1988年に,久山町の健診を受診した認知症のない65~84歳の住民754人を追跡開始時の喫煙レベルで3群(非喫煙,過去喫煙,現在喫煙)に分けて17年間追跡した.また,この集団が15年前の健診を受診した際の喫煙情報を用いて中年期の喫煙と老年期における認知症発症の関係も検討した.その結果,非喫煙群を基準にすると,老年期および中年期の喫煙は認知症発症の有意な危険因子だった.病型別に検討すると,特に中年期の喫煙がADおよび血管性認知症(vascular dementia:VaD)発症と密接に関連していた.さらに,中年期から老年期の喫煙レベルの推移が認知症発症に与える影響を検討した.生涯にわたり喫煙しなかった群に比べ,中年期から老年期にかけて喫煙を続けた群のADおよびVaDの発症リスクはそれぞれ2.0倍,2.9倍有意に高かった(図1).一方,老年期になって禁煙した群では,認知症の発症リスクが減少し,非喫煙群との有意差も認められなかった.つまり,長期にわたる喫煙は認知症発症の有意な危険因子といえるが,老年期になっても禁煙することによって認知症のリスクが低下する可能性があるといえる.Ⅲ アルコール欧米のコホート研究の成績をまとめたメタ解析によると,少量から中等量のアルコール摂取はADおよびVaDの発症リスクを20~30%有意に低下させることが報告されている(表1)2).しかし,この予防効果はアルコール摂取が多量になると消失した.この予防効果の認められるとする少量~中等量のアルコールの具体的な量については,研究によってアルコール摂取量のカテゴリーが異なるため不明であるといわざるを得ない.また,これらの報告は欧米人を中心とした結果であるため,アルコール代謝能力の異なる日本人においてもこの問題を検証し,認知症のリスクを低下させうるアルコールの量を明らかにする必要がある.Ⅳ 運動1995年に,久山町研究は余暇時あるいは仕事中の運動量の多い群はADの発症リスクが有意に低下することを世界に先駆けて報告した(ハザード比:0.2)3).その後,多くのコホート研究でこの問題が追試され,運動は認知症発症の有意な防御因子であることはほぼ定説になっている.久山町の高齢住民を17年間追跡した成績でも,運動習慣を有する群ではADの発症3.01.62.02.01.003.02.01.001.0(基準)1.0(基準)1.92.9***(n)中年期(409)非喫煙(95)喫煙(112)喫煙(n)中年期(409)非喫煙(95)喫煙(112)喫煙老年期非喫煙非喫煙喫煙喫煙レベル老年期非喫煙非喫煙喫煙喫煙レベルハザード比アルツハイマー病vs. 非喫煙→非喫煙*p<0.05**p<0.01血管性認知症図1喫煙レベルの推移と病型別認知症発症のハザード比久山町男女616人,65-84歳,1973-2005年,多変量調整調整因子:年齢,性,学歴,高血圧,降圧薬服用,心電図異常,糖代謝異常,BMI,血清総コレステロール,脳卒中既往歴,飲酒〔参考文献1)より引用改変〕