カレントテラピー 34-6 サンプル

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72 Current Therapy 2016 Vol.34 No.6582Ⅰ これまでの食事療法におけるサプリメントの意義と問題点糖尿病患者への食事療法では,従来,健康食品やサプリメントは薬のように食べることで血糖状態が良くなるものではなく,あくまでも食品として考え,なかには,身体に悪影響をもたらすものもあるため,利用の際には,必ず医療関係者に相談することと考えられていた1).そして,従来の『臨床検査技師のための糖尿病療養指導マニュアル』などには,健康食品やサプリメントの扱いについて言及する箇所は少なく,ほとんどは,食事療法や薬物療法教室など実践での心得が少し載っている程度である2).一部特定保健用食品の生活習慣病における利用について言及されているマニュアルには,特定保健用食品が生活習慣病の発症予防として効能・効果がエビデンスに基づいて認められたものであるが,糖尿病など有病者所見のあるものに対してそれを利用する場合は,治療薬や病態によって反作用が起きる場合もあるなどの知識が必要と記されていた3).1991年に特定保健用食品の制度が発足すると,いわゆる健康食品というカテゴリーが確立され,その利用方法をよりよい食生活に取り入れていくための食育の必要性が問われ,それにかかわる人材の育成も検討された.しかし,もっぱら健常人対象のものが多く,いわゆる未病状態である生活習慣病発症予防での利用が中心となっていた.2002年には独立行政法人国立健康・栄養研究所によって健康・栄養食品に関する適切な情報を提供できる人材の育成を目的に栄養情報担当者(nutritional representative:NR)の認定制度が設定された4).その後厚生労働省の省内事業仕分けの結果,2015年度には,一般社団法人日本臨床栄養* 女子栄養大学教授糖尿病治療における食事療法の課題と展望─新たなエビデンスに基づいた食事療法食事療法におけるサプリメントの意義と問題点蒲池桂子*今日では,目覚ましいほど健康食品やサプリメント,機能性食品といった,食品のカテゴリーに属しながら機能性を強調した食品が増えてきている.利用対象者は,生活習慣病の予防だけでなく,すでに罹患している場合であっても広く利用されている.そうした健康食品を巡る国内事情は2015 年4 月に消費者庁の管轄の下で,食品表示法が統一施行され,それに伴い,新しく機能性表示食品が定義された.これは特定保健用食品とは違い,提供事業者の責任において表示が可能となる機能性のある食品であり,消費者庁長官による審査監督は行われていない.一方,糖尿病患者は国内で950万人にのぼる現在,高齢化も進み,食事療法の補助的な利用,もしくは個人に合った利用法によって,良好な管理状態を維持できる可能性が指摘されてきている.これにあたって医療者側では利用実態の把握と定期検査によるモニターを行い,より適切な食事療法を展開することが求められている.