カレントテラピー 34-6 サンプル

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Current Therapy 2016 Vol.34 No.6 75食事療法における新たな視点585いる.さらに,高齢者の一人暮らしも増えている.介護が必要になる割合も増えており,自炊には限界がある事態となっている.実際,外来での栄養相談を訪れる糖尿病者も病歴が長くなり,高齢化も進んでいるため,食事量が少ないために栄養素が不十分になる例を経験することも少なくない.市町村でも糖尿病重症化予防を行政として積極的に取り組むところが増えてきており,医療費の面からも今後も検討されることが多くなる分野である.このような糖尿病患者の実態を踏まえれば,今や国民的な疾病とまでいわれるようになった糖尿病に対して,健康食品やサプリメントの利用について考慮することは,今後の治療にはどうしても外せない要因といえるだろう.そして糖尿病患者の既往歴,服薬状況,食事摂取量を踏まえて,健康食品やサプリメントを利用するタイミングを計ることが重要と考えられる.Ⅳ 医療従事者としての健康食品への取り組み実際に,健康食品やサプリメントを利用するタイミングであるが,外来栄養相談を行う際に,先に挙げた特別用途食品に分類される「病者用食品」である低たんぱく食品や減塩製品などは,一般的に糖尿病性腎症患者に対して勧め,医療現場では活用されている.また減塩食やエネルギー管理のされている宅配食については,初期の糖尿病患者に食事療法を体験してもらうために利用を勧めることが多くある.特に教育入院ができない場合などに教育効果が期待できる7).さらに,加工品や先に挙げた食品表示の情報を活用した,食事記録や減塩指導などは,外来栄養相談および糖尿病教室の場でことあるごとに取り上げている.しかし,いわゆる健康食品やサプリメントについては,医療者側から利用について勧めることは一般的には行っていない.原則として,相談者からの質問に応じて,呈示された健康食品やサプリメントの特性を判断して質問に答えることが多い.ところで,実際に糖尿病患者が健康食品やサプリメントを使っている実態報告をみると,おおむね30~50%程度の調査対象者が糖尿病を意識したいわゆる健康食品を使用している実態が報告されている8),9).2型糖尿病患者154名に対して特定保健用食品の利用に関する報告によると,特定保健用食品の利用者は,全体の29%で利用の有無によるHbA1c(JDS値)に有意差はなかったが,利用者の内訳では,食生活良好群と問題がみられる群に分けたところ,HbA1cが食生活良好群で有意に低かった.その際の意識調査で,良好群では,「食事療法の効果を高めるため」と食生活の補助的な役割として位置づけているのに対して,問題のある群では,「血糖良化・食事療法の代わりに」と考えるものが多かった8).これらの報告から,糖尿病の生活管理においては,従来考えられている,まずは王道の糖尿病食事療法を心得て実践しながら,補助的に健康食品やサプリメントを利用するという従来の「補助的」スタンスを保ちつつやむを得ない場合を想定しての利用がポイントになるようだ.現在,糖尿病を考慮して利用する健康食品やサプリメントは,食後の血糖値上昇を抑えることで知られる難消化性デキストリンをはじめ,グァバ葉ポリフェノール,小麦アルブミンなどが知られている.また,血圧が高めの方に適する食品としては,ラクトトリペプチド,杜仲茶配糖体,クロロゲン酸類など,血中の中性脂肪を抑える食品としては,サイリウム,植物ステロールなど,体脂肪がつきにくい食品としては,茶カテキン,中鎖脂肪酸などがあり,多彩である.これらの利用に関しては,エビデンスが確立されているものも増えてきてはいるが,医薬品ではないことから,それらを勧めるにあたっては,十分な注意と表示を見極めることが大事であろう.また,新たに設けられた機能性食品表示に関しては,特定保健用食品とは異なり,国が安全性と機能性の審査を行わない届け出制度のため,機能性については個人の責任が問われ,利用には慎重を期する必要がある.利用にあたっては,定期的な血液および尿検査など特に,安全性の面からは肝臓機能について検討し,患者ごとの経過観察が必要であろう.さらに,健康食品やサプリメントの利用について改めて主治医に報告している患者は全体の10%以下という調査報告もあり9),思わぬ検査値異常の原因が,患者の自