カレントテラピー 34-6 サンプル

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84 Current Therapy 2016 Vol.34 No.6594エンパグリフロジンがプラセボに対し,心血管疾患の発症率および死亡率で非劣性であることを証明することである.一次エンドポイントは心血管疾患死,非致死性心筋梗塞,非致死性脳卒中の3種の複合心血管イベント(3-point major adverse cardiac event:3-point MACE)である.二次エンドポイントは一次エンドポイント+不安定狭心症による入院である4 種の複合心血管イベント(4-point MACE)である.研究デザインは,無作為化並行群間プラセボ対照試験であり,42カ国,590施設が参加し,結果はmodifiedintention to treat解析がなされた.登録期間は2010年9月~2013年4月.治療期間中央値は2.6年,追跡期間中央値は3.1年であった.対象は心血管疾患にハイリスクな2型糖尿病患者7,020人で,2週間のrun-in期間後,患者をエンパグリフロジン10mg群(2,345例),エンパグリフロジン25mg群(2,342例),プラセボ群(2,333例)に1:1:1に割り付け,Cox回帰ハザードモデルを用いて一次エンドポイントおよび二次エンドポイントのハザード比(HR)が算出された.各群への患者の割り付けは,HbA1cレベル,BMI,腎機能,地域により層別化して行われた(図1)4).研究結果を図2 3)に示す.追跡期間中の一次エンドポイントの発症率は,プラセボ群〔282 / 2,333例(12.1%)〕よりもエンパグリフロジン群〔490/4,687例(10.5%)〕のほうが有意に低かった〔HR 0.86,95%信頼区間(CI)0.74- 0.99,非劣性のp<0.001,優越性のp=0.04〕.プラセボ群に比べ,エンパグリフロジン群では心血管疾患による死亡率が低かったが(プラセボ群5.9%,エンパグリフロジン群3.7%,HR0.62,95%CI 0.49- 0.77,優越性p<0.001)非致死性心筋梗塞または脳卒中の発症率には群間差がみられなかった.二次エンドポイント(一次エンドポイント+不安定狭心症による入院)ではエンパグリフロジン群の非劣性が示されたが優越性は認めなかった(14.3% vs. 12.8%,HR 0.89,95%CI 0.78- 1.01,非劣性p<0.001,優越性p=0.08).しかしながら,エンパグリフロジン群では全死亡率が低く(8.3% vs.5.7%,HR 0.68,95%CI 0.57- 0.82,優越性p<0.001),心不全による入院率も低かった(4.1% vs. 2.7%,HR0.65, 95%CI 0.50- 0.85,優越性p=0.002).Ⅲ EMPA - REG OUTCOMEstudyの結果に関する考察心血管イベントの既往者やハイリスクの2型糖尿病患者を対象とした糖尿病薬による検討ではサキサグリプチンによるSAVOR -TIMI53試験5)やアログリプチンによるEXAMINE試験6),シタグリプチンによるTECOS試験7)等がある.これらのDPP4阻害薬を用いた検討では,いずれもプラセボに対する非劣勢が示されたのみであった.このような状況のなか,エンパグリフロジンを用いたEMPA -REG OUTCOMEstudyで示された非劣勢にとどまらず,優越性を有する結果は,今後の糖尿病診療に大きなインパクトをもたらす可能性がある.しかしながら,2用量を合わせたエンパグリフロジン群の結果をエンパグリフロジンランダム化/治験薬投与(n=7,020)エンパグリフロジン10mg群(n=2,345)エンパグリフロジン25mg群(n=2,342)プラセボ群(n=2,333)スクリーニング(n=11,531)●治験薬の投与は標準治療に上乗せして行われた ? 血糖降下に関する治療は最初の12週間は変更しないこととした●治療は二重盲検下で行った●主要複合心血管イベント(心血管疾患死,非致死性心筋梗塞,非致死性脳卒中)を一次エンドポイントとして行われた図1EMPA-REG OUTCOME study〔参考文献4)より引用改変〕