カレントテラピー 34-6 サンプル

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Current Therapy 2016 Vol.34 No.6 9519読の44ページである.1 対象者と予防概念の拡張対象者は,主として,健康者ならびに健康者からなる集団であるが,疾患のリスクを有する人や,すでに疾患を有する人への活用も対象としている.健康者では,一次予防(疾病予防)が目的である.すでに疾患を有する人ではそれ以上病状を悪化させないこと,すなわち,重症化予防が目的となる.ハイリスク者ではその両方に注意すべきである.今回の食事摂取基準の大きな改定は,従来の一次予防(疾病予防)に加え,重症化予防も食事摂取基準の目的であると明記した点である.これにより,特定の疾患を有する患者を対象とした食事療法も食事摂取基準の範疇となった.しかし,これは今回が初めての試みであるため,詳しく取り扱った疾患も4種類の生活習慣病に留まり,その理論や記述も完全とは言いがたい.しかしながら,これからの食事摂取基準の方向を示すものとして注目に値する.2 指標摂取すべき栄養素量の指標として,推定平均必要量,推奨量,目安量,耐容上限量,目標量の5種類が定められている.この使い分けは重要である.摂取量は「習慣的な」としている.習慣的とはおよそ1カ月またはそれ以上としている.したがって,食後血糖への影響は扱っていないので注意したい.使うべき条件や使い方は指標ごとに異なるため,正しく理解すべきところである.栄養素の指標の概念と特徴を表1に掲げておく.栄養素の指標の概念と特徴─値の算定根拠となる研究の特徴─推定平均必要量(EAR)推奨量(RDA)〔目安量(AI )〕耐容上限量(UL) 目標量(DG)値の算定根拠となる主な研究方法実験研究,疫学研究(介入研究を含む) 症例報告疫学研究(介入研究を含む)対象とする健康障害に関する今までの報告数極めて少ない~多い極めて少ない~少ない多い栄養素の指標の概念と特徴─値を考慮するポイント─推定平均必要量(EAR)推奨量(RDA)〔目安量(AI )〕耐容上限量(UL) 目標量(DG)算定された値を考慮する必要性可能な限り考慮する(回避したい程度によって異なる)必ず考慮する関連するさまざまな要因を検討して考慮する対象とする健康障害における特定の栄養素の重要度重要重要他に関連する環境要因がたくさんあるため一定ではない健康障害が生じるまでの典型的な摂取期間数カ月間数カ月間数年~数十年間算定された値を考慮した場合に対象とする健康障害が生じる可能性推奨量付近,目安量付近であれば,可能性は低い耐容上限量未満であれば,可能性はほとんどないが,完全には否定できないある(他の関連要因によっても生じるため)栄養素の指標の概念と特徴のまとめ─摂取源と健康障害との関係─推定平均必要量(EAR)推奨量(RDA)〔目安量(AI )〕耐容上限量(UL) 目標量(DG)通常の食品を摂取している場合に対象とする健康障害が生じる可能性あるほとんどないあるサプリメントなど,通常以外の食品を摂取している場合に対象とする健康障害が生じる可能性ある(サプリメントなどには特定の栄養素しか含まれないため)ある(厳しく注意が必要)ある(サプリメントなどには特定の栄養素しか含まれないため) 表1栄養素の指標の概念と特徴