カレントテラピー 35-11 サンプル

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72 Current Therapy 2017 Vol.35 No.111082値25カ月であった.リキセナチド投与群においてプラセボ群に比し主要エンドポイントの有意な発生率増加は認めず(13.4% vs. 13.2%,HR 1.02,95%CI0.89- 1.17,p<0.001),非劣性が示された.全死亡,心不全入院に関しても解析されたがニュートラルの結果であった13).LEADERでは,心血管イベントの既往がある50歳以上の2型糖尿病か,心血管イベントのリスク因子を有する60歳以上の2型糖尿病患者9,340名を対象とし,観察期間中央値3.8年で,リラグルチドの主要エンドポイント(心血管死,非致死性心筋梗塞,非致死性脳卒中の複合)におけるプラセボに対する非劣性を検討した試験である.本試験では,リラグルチド1.8mg(日本における承認用量0.9mg)投与群でプラセボに比し,主要評価項目が13%有意に低下することが示され,非劣性とともに優越性が示された(13.0%vs. 14.9%,HR 0.87,95%CI 0.78- 0.97,非劣性p<0.001,優越性p=0.01)14).主要エンドポイントの各コンポーネントについて検討した結果でも,心血管死はリラグルチド群ではプラセボ群に比し22%有意に減少(4.7% vs. 6.0%,HR 0.78,95%CI 0.66- 0.93,p=0.007)し,非致死性心筋梗塞,非致死性脳卒中は有意ではないものの減少傾向であった.その他,全死亡も15%有意に減少(8.2% vs. 9.6%,HR 0.85,95%CI 0.74- 0.97,p=0.02),心不全入院は減少傾向にはあったが統計学的に有意ではなかった.SUSTAIN - 6は,日本では未発売のsemaglutideの第3 a相国際共同臨床試験プログラムであり,SUSTAIN - 6では,心血管イベント既往,心不全あるいは慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)を有する50歳以上の2型糖尿病か,心血管イベントリスク因子を有する60歳以上の2型糖尿病の患者3,297名を無作為割付し,104週間の観察期間でsemaglutide(0.5 mg および1.0 mg)週一回投与の治療薬群とプラセボ群を比較し,主要エンドポイント(心血管死,非致死性心筋梗塞,非致死性脳卒中)に対する安全性を検討したものである.semaglutide発売前の試験であるため,FDAガイダンスに従い,非劣性としてハザード比の95%CIの上限が通常の1.3ではなく1.8と設定されたが,結果,semaglutideは主要エンドポイントを26%有意に低下(6.6% vs. 8.9%,HR 0.74,95%CI,0.58- 0.95,非劣性p<0.001,優越性p=0.02)させた15).semaglutideの有害事象は主に胃腸障害によるものであり,糖尿病網膜症に関しては,プラセボ(1.8%)と比較してsemaglutide(3.0%)で統計学的に有意に多く(HR 1.76,95%CI 1.11- 2.78,p=0.02)認められた15).これまでのインクレチン関連薬を用いた同様のアウトカム試験においては,いずれもCVDリスクにおける非劣性は示されているものの優越性を示すに至ることはなかったが,LEADERやSUSTAIN- 6で相次いで優越性を示した結果が報告された.それぞれの研究において対象者の登録基準が異なっており(表),また,いずれもCVDに対する安全性をプラセボ群との比較で検証するためにデザインされた短期間での研究であることから,結果の解釈には慎重にならざるを得ない.しかし,病歴の長い,動脈硬化の進展している2型糖尿病患者の治療選択肢としてGLP - 1受容体作動薬の効果が期待される結果といえる.今後,同様の大規模臨床研究EXSCEL(エキセナチド週一製剤)が2017年秋に発表予定,REWIND(デュラグルチド週一回製剤)が2019年に終了予定となっており,先行研究と同様の結果となるか,注目される.Ⅳ SGLT2阻害薬SGLT2阻害薬は,SGLT2による近位尿細管でのグルコース再吸収を抑制し,尿糖排泄を増加させることによって血糖コントロールを改善する薬剤であり,その作用機序から,近年求められる,低血糖を起こさず,かつ,体重増加をきたさない,β細胞に過剰な負荷をかけない,という理想的な糖尿病治療薬の条件をインクレチン関連薬とともに満たしている薬剤といえる.血糖降下作用以外にも体重減少や降圧,脂肪肝改善,腎機能改善,脂質プロフィールの改善などのさまざまな代謝改善が観察されるとの報告があるが,その詳細な機序についてはいまだ不明な点も多い.続々と大規模臨床研究の結果が発表されるなか,強烈なイン