カレントテラピー 35-11 サンプル

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Current Therapy 2017 Vol.35 No.11 71017多彩な糖尿病治療薬をどのように使い分ける?企画順天堂大学名誉教授河盛隆造2 型糖尿病治療では,健常人にみる“糖のながれ”を再現するように努力すべきではなかろうか.絶食時には膵β細胞から分泌されたインスリンにより調整された肝・ブドウ糖放出率と全身細胞・ブドウ糖取り込み率が一致し,血糖値は正常域に維持される.食事摂取時には,炭水化物から緩やかに分解され生じたブドウ糖が肝に流入するが,瞬時に分泌されたインスリンも肝に到達する.肝はインスリンの働きでブドウ糖放出率を抑え,大半のブドウ糖を取り込む.だから暴飲暴食しても食後血糖値は150 mg/dLを超えることはない.しかし,肝・ブドウ糖取り込み率が低下するとただちに食後高血糖を呈することとなる.その機序として,肝でのインスリンの働きの低下と,インスリン分泌低下のいずれかが挙げられよう.しかし「軽度の高血糖だ」と放置すると,β細胞インスリン分泌能が低下することが分子レベルで次々と報告されている.糖尿病と診断された例に対して,速やかに高血糖を取り除き,内因性インスリン分泌を回復させることが必須であろう.インスリンは発見され,臨床応用に供されて96 年にもなるが,いまだにmiracle, magic drugである.どのような症例においてもインスリンを注射すれば血糖値は降下する.しかし,インスリン皮下注射は,決して生理的インスリン補充療法ではなかろう.皮下注射されたインスリンは主に筋でのインスリンの働きを高め,血液中のブドウ糖を筋に取り込んでいるにすぎない.肝の門脈域でのインスリンレベルは高まらず,健常人にみる“糖のながれ”を再現して,血糖値を下げた,とはいえないからである.門脈にインスリンを流入させる膵β細胞再生医療が可能になるまで,1型糖尿病患者でのインスリン皮下注射療法は,緻密にインスリン投与量を調整し,低血糖を起こすことなく,かつ食後高血糖をも制御していくことが望まれる.一方で2型糖尿病患者においては,病期が早期であっても,たとえ進行していても,緻密な薬物療法を駆使して,正常血糖応答を維持することにより,内因性インスリン分泌を回復させると,健常人の“糖のながれ”を再現することができる,と信じている.本特集においては,エキスパートに現時点での多彩な糖尿病治療薬を活用し,さらには必要であれば併用して,血糖応答を正常に維持する手法を具体的にご提案していただいた.是非,最前線の診療の参考にしていただきたい.さらにご批判もいただきたい.エディトリアル