カレントテラピー 35-11 サンプル

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Current Therapy 2017 Vol.35 No.11 91019が,追加インスリンとして超速効型インスリンが用いられ,1日に頻回(一般的に3回以上)注射することからインスリン頻回注射療法と称している.Ⅲ インスリン頻回注射療法の導入手順高血糖緊急症から回復した直後の新規発症1型糖尿病を例として,インスリン頻回注射療法の導入手順を述べてみたい.適切な補液やインスリン静脈内投与によって糖尿病ケトーシスあるいはケトアシドーシスからの回復がみられたら,各食直前の超速効型インスリンならびに1日1回の持効型インスリンの皮下注射へ切り替える.通常,体重1kgあたり0.3~0.4単位の割合で1日総インスリン量を概算し,それを毎食直前と夕食前(または就寝前)に4分割したものを頻回注射の基本骨格として注射を始める(図2).例) 体重60kg,1日総インスリン量を0.4単位/kgとした場合“1日の総インスリン量” =0. 4×60=24単位続いてこれを4分割(24/4=6)し,以下のように6単位ずつ配分する.・ 超速効型インスリン:朝食直前6単位,昼食直前6単位,夕食直前6単位 皮下注・ 持効型インスリン:夕食時(または就寝前)6単位皮下注Ⅳ インスリン量調整の原則(責任インスリンの考え方)一般的に前日までの血糖変動を参考にし,責任インスリンの概念を念頭において後ろ向きにインスリン単位を調整する.基礎インスリンが適切であれば,通常,標的となる食前血糖値のひとつ前のインスリンが責任インスリンとなる.例えば昼(または夕)食前の血糖値が高い場合は,朝(または昼)の超速効型インスリンが足りないことを意味する(図3).早朝空腹時の血糖値に影響を及ぼす責任インスリンは,一般的に前日に注射した持効型インスリンである.しかし,早朝高血糖が続く場合は,安易に持効型インスリンを増やすのではなく,ソモギー効果と暁現象の鑑別を行う.具体的には午前3時頃の血糖を測定し,血糖値が70mg/dL未満の場合はソモギー効果と考えて持効型インスリンを減量,もしくは就寝前の補食(80~160kcal;1~2単位相当)を指示する.補食は低血糖を起こす時間帯をカバーできるように,ちくわやソーセージ,チーズなどのタンパク質や脂質をインスリン分泌朝食昼食夕食追加分泌基礎分泌血糖値図1 正常のインスリン分泌パターンインスリンは24時間持続的に分泌されている基礎分泌と,食後の血糖上昇に反応して分泌される追加分泌から構成されている.朝食昼食夕食就寝注射①注射①注射①注射②超速効型(①) 持効型(②)図2 インスリン頻回注射療法の一例1 型糖尿病における血糖コントロールの基本は,正常のインスリン分泌動態に近づけるようにインスリンを補充することである.典型例では毎食直前に超速効型インスリンを,夕食時あるいは就寝前に持効型インスリンを1 回注射する.