カレントテラピー 35-12 サンプル

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カレントテラピー 35-12 サンプル

Current Therapy 2017 Vol.35 No.12 871193びラクナ梗塞の発症リスクは,LDLコレステロール値の上昇とともに有意に高くなった2).一方,心原性脳塞栓症では,脂質異常症の関与は少ないと考えられ,脂質異常症の関与は脳梗塞病型ごとに異なっていた.Ⅲ スタチンによる脳卒中発症予防効果スタチンの効果は,血小板機能抑制,血管内皮機能改善,抗炎症作用,プラーク安定化など,LDLコレステロールの低下作用以外の多面的作用の影響が大きいことが示唆されている(図1)3).スタチンによる脳卒中の発症予防効果は,冠動脈疾患を対象として行われた欧米の大規模臨床試験であるCholesteroland Recurrent Events(CARE)study,Long-TermIntervention with Pravastatin in Ischemic Disease(LIPID)studyで,冠動脈疾患の再発抑制のみでなく脳卒中の発症も30%前後有意に抑制することが示されている.Cholesterol Treatment Trialists’(CTT)Collaborationによるメタ解析では,スタチンを用いたLDLコレステロール低下療法による脳卒中発症予防効果を検討した結果,LDLコレステロールが41.3mg/dL(1.07mmol/L)低下し,脳卒中の発症が15%低下(relative risk 0.85,95%CI 0.80- 0.90)し,脳梗塞の発症は20%低下(relative risk 0.80,95%CI 0.73-0.88)した(図2)4).わが国でも冠動脈疾患または脳卒中の既往を有さない総コレステロール値が220~270mg/dLの脂質異常症患者を対象とした大規模な一次予防効果を検討した試験であるManagement ofElevated Cholesterol in the Primary PreventionGroup of Adult Japanese(MEGA)Studyで,食事療法+プラバスタチン(10~20mg/日)内服群は食事療法単独群に比べて脳卒中発症率を17%低下させた.5年目における評価では食事療法+プラバスタチン内服群で19%のLDLコレステロール低下に伴い,脳卒中発症率を35%低下させた5).そのサブ解析において,高血圧を有する患者では食事療法+プラバスタチン(10~20mg/日)投与群で食事療法単独群と比Vasoconstriction↓Hypertension↓ROS↓Rac1 ↓RhoA ↓ET-1↓AT1 Receptor↓TXA2 ↓MacrophageGrowth↑t-PA↓PAI-1Statins↓MMPs↓TF↓hs-CRP↓Adhesion Molecule↑NO↓AtherosclerosisCardiovascularDiseasesSMCProliferationSMCHypertrophyEndothelialDysfunctionVascularInflammationPlaqueStabilityThromboticEffectPlateletActivation- - - + - - - - - -図1スタチンによる多面的作用〔参考文献3)より引用〕