カレントテラピー 35-12 サンプル

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10 Current Therapy 2017 Vol.35 No.121116いる.合計点数が高くなるほど再発のリスクが高くなるが,特にスコア4点以上では2日以内に再発リスクが3~8%となる(図2).一方,このスコアはあくまで非専門のかかりつけ医(general practitioner:GP)が用いるための簡略化した目安であり,専門施設での評価や診断には決して用いるべきではない.まずスコアに含まれていない多くのハイリスクの基礎疾患がある.①心房細動,心不全,機械弁,心筋症,心筋梗塞の既往などの塞栓症をきたし得る心疾患,②抗リン脂質抗体症候群,動脈炎,膠原病などの自己免疫性疾患,③抗凝固因子の欠損,多血症,DICなどの血液疾患,④腺癌などの悪性疾患,⑤未治療の脂質異常症,肥満,メタボリック症候群,喫煙などの動脈硬化のリスク,⑥冠動脈疾患,末梢動脈疾患(閉塞性動脈硬化症),虚血性腸炎などのアテローム血栓症も考慮されていない.また脳卒中の既往やすでに頚動脈にプラークを指摘されている場合のTIAはハイリスクであることは言うまでもない.また臨床症状としては,ABCD2スコアでは片麻痺,構音障害のみが取り上げられているが,失語,同名半盲,単眼の暗黒感(一過性黒内障),半身の感覚障害も重要なTIAの自覚症状である.これらは丁寧に病歴を聴取することで,医学的知識のない患者からも聞き出すことが可能である.また内頚動脈や中大脳動脈の高度な狭窄に血圧低下が加わると半球の広範な血流低下を生じるが,このとき虚血病巣と対側半身に一過性(通常5分以内)の振戦をきたすことがあり,limb -shakingと呼ばれ部分てんかんとの鑑別が必要となる.またTIAを二回以上認める場合も梗塞をきたす確率が高いため,迅速な検査,加療の開始が必要である.特に何度も繰り返す場合は,起立時などの血圧変動に伴って発症しないかを聴取し,血行力学的不全症を鑑別する必要がある.05101520250 12 days7 days30 days90 days2 3 4 5 6 7ABCD2 scoreStroke risk(%)図2ABCD2 score とTIA 後の脳梗塞発症までの期間・Age 60 years(年齢) 1 point・Blood pressure 140/90mmHg( 血圧) 1 point Clinical symptom(臨床症状)・Unilateral weakness( 片麻痺) 2 points・speech impairment without weakness( 麻痺のない構音障害) 1 point・Duration 60 min(症状の持続時間) 2 points・or 10 ? 59 min 1 point・Diabetes(糖尿病) 1 point表ABCD2 score の点数〔参考文献4)より引用〕