カレントテラピー 35-5 サンプル

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70 Current Therapy 2017 Vol.35 No.5474た論調で書かれた一時代前の指導的漢方専門家の著作にふれた向きも多かろうが,筆者の感覚では「あまりに傲慢」である.もちろん,明治維新以後,医学の本道から外された漢方療法家にしてみれば「漢方だってこんなにすごいんだぞ」と世に訴える必要があったという時代背景を考えると,同情の余地はあろうが,筆者は漢方にだって副作用はあり得ると考える.漢方に否定的な読者でも,例えば麻黄(エフェドリンの起源植物)含有方剤が動悸,不眠などの副作用を呈し得ることは同意できよう.筆者が読者諸賢に訴えたい「証」なる概念の最も特筆されるべきところは,「診療各々の時点においてなされる“臨床的仮説”」ということである.筆者は硬直したevidence based medicine(EBM)に与する者ではないが,少なくとも確固としたエビデンスが確立されているわけではない漢方薬を臨床応用しようとするなら,その「仮説性」という側面は常に意識するべきだろうと考える.その謙虚さが「臨床的フレキシビリティ」に通じるとも考えている.いささか旧聞に属するが「小柴胡湯による間質性肺炎」が話題になった.そんな報道がなされる以前に出版された本6)に「陰虚(潤いの不足というニュアンス)には禁忌,慢性疾患への使用は注意を要する」とあることを指摘したい.ちなみに間質性肺炎とは中医学的にいえば「肺の陰虚証」といえる病態である可能性が高い.Ⅲ 中医学の世界を覗いてみようここで少し,漢方の源流,中国の様子も覗いてみよ表1 感情障碍とオーバーラップする中医学的「弁証分類」〔参考文献7)より引用〕