カレントテラピー 35-8 サンプル

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Current Therapy 2017 Vol.35 No.8 75789Ⅰ はじめに肺がんが本邦のがん臓器別死亡数で1位となって以来20年以上が経過した.2015年の年間死亡数は7万4,000人を超え,死亡患者数はいまだに増加傾向である1).肺がんは組織型により診療方針が異なり,小細胞肺がんと非小細胞肺がんに大別され,さらに非小細胞肺がんは腺がん,扁平上皮がん,大細胞がんに分類される.非小細胞肺がん,特に腺がんでは2002年にゲフィチニブが承認されて以降,個別化治療が推し進められ,現在では殺細胞性抗がん剤,ドライバー遺伝子変異(EGFR 遺伝子変異やALK 融合遺伝子変異)に対するチロシンキナーゼ阻害薬,免疫チェックポイント阻害薬など治療選択肢が広がり,非小細胞肺がんの治療は多様化している.血管新生阻害薬は,血管内皮増殖因子(vascularendothelial growth factor:VEGF)などの血管新生調節因子の作用を阻害することで,抗腫瘍効果を発揮する分子標的薬である.血管新生阻害薬には,スニチニブ,パゾパニブ,cabozantinib などマルチキナーゼ阻害薬と称される低分子化合物と,肺がんで承認されているベバシズマブ(Bev)とラムシルマブ(Ram)などのモノクローナル抗体がある.Bevは非扁平上皮非小細胞肺がんの一次治療においてプラチナダブレットに併用することにより,Ramは非小細胞肺がんの二次治療においてドセタキセル(DTX)と併用することによって,生存期間の延長効果が証明され,進行・再発の非小細胞肺がんの治療選択肢となっている.一方,出血イベント,発熱性好中球減少症などの重大な有害事象も報告されており,使用には注意が必要である.本稿では,肺がんにおける血管新生阻害薬としてBevとRamについて概説する.Ⅱ 血管新生阻害薬について血管新生は,既存の血管から新しい血管が形成さ血管新生阻害薬髙? 聡*1・弦間昭彦*2*1 日本医科大学大学院医学研究科呼吸器内科学分野医員*2 日本医科大学学長肺がん─ 個別化医療の時代肺がん治療は個別化治療が進み,組織型,ドライバー遺伝子変異,PD-L 1発現などのバイオマーカーに従って,治療方針が決定される時代になった.血管新生阻害薬は,血管内皮増殖因子の細胞増殖・転移作用などを阻害することで抗腫瘍効果を発揮し,さまざまながんに対して有効性が証明されている.非小細胞肺がんにおいても,ベバシズマブ,ラムシルマブが殺細胞性抗がん剤との併用によって,生存期間の延長を証明している.その併用療法では,出血イベント,発熱性好中球減少症などの有害事象が増加することが報告されており,適応を見極めるためにメリット・デメリットを理解する必要がある.a b s t r a c t