カレントテラピー 35-8 サンプル

カレントテラピー 35-8 サンプル page 8/34

電子ブックを開く

このページは カレントテラピー 35-8 サンプル の電子ブックに掲載されている8ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
カレントテラピー 35-8 サンプル

Current Therapy 2017 Vol.35 No.8 11肺がんの新しい治療薬と問題点725ファチニブ濃度が高く,それが有害事象の発現に繋がっていた可能性がある.このように投与量を減らすことで有害事象のコントロールが可能であり,有害事象を軽減しつつ治療を長期維持できることが示唆されたが,アファチニブの代謝様式と血漿中の濃度と有害事象の発現予防の関連は十分に解明されていないため,初回投与量からの安易な減量は薦められない.Ⅳ 病巣の存在する臓器特異性に基づいた薬剤の選択1 脳転移を伴う症例非小細胞肺がん症例の25~40%が経過中に脳転移を発症する.分子量の大きな殺細胞性抗がん剤や抗体薬などは血液脳関門(blood brain barrier:BBB)の存在により,従来脳転移巣へ十分量が到達できていなかった.一方,分子量の小さなEGFR -TKIはBBBを通過するものの,その移行率は十分ではない.表3に各EGFR -TKIの脳転移に対する治療効果を示す.脳脊髄液中のゲフィチニブとエルロチニブの濃度は血中濃度のそれぞれ1%・2.5~13%であったことから,中枢神経系への移行性はエルロチニブのほうが優れており,結果脳転移に対してはゲフィチニブよりエルロチニブの効果がより高いことが示唆される12).ただし,EGFR変異を有する進行非小細胞肺がんを対象としてエルロチニブの脳転移に対する効果を検討した前向き試験はほとんどなく,実際,エルロチニブがゲフィチニブより効果が高いかどうかはわかっていない.ア表2 各EGFR-TKIの有害事象の頻度ゲフィチニブ*1 エルロチニブ*2 アファチニブ*3 オシメルチニブ*4全有害事象の発現頻度56 . 2- 95 . 5% 79 . 1- 100 . 0% 99 . 6- 100 . 0% 93 . 8%各有害事象の内容と発現頻度1.発疹 17 . 1- 64 . 9% 1.発疹 61 . 2- 97 . 8% 1.下痢 95 . 2- 100% 1.発疹・ざ瘡 56 . 3%2.下痢 11 . 1- 46 . 3% 2.下痢 21 . 2- 76 . 5% 2.発疹61 . 6- 83 . 9% 2.爪の障害 38 . 8%3.皮膚乾燥 23 . 6- 34 . 4% 3.皮膚乾燥 71 . 2% 3.口内炎 64 . 5% 3.下痢 36 . 3%4.肝機能異常 11 . 1% 4.掻痒症 63 . 3% 4.爪周囲炎 56 . 8- 67 . 7% 4.皮膚乾燥・湿疹 30 . 0%5. 急性肺障害・間質性肺炎1 . 3- 5 . 8%5. 急性肺障害・間質性肺炎4 . 3%5.間質性肺疾患 3 . 1% 5.間質性肺疾患 6 . 3%*1:「 イレッサ錠250プロスペクティブ調査」,国内第Ⅲ相製造販売後臨床試験(V- 15- 32),アジア国際共同第Ⅲ相臨床試験(IPASS)でのデータ(イレッサR錠250添付文書)* 2: EGFR 遺伝子変異陽性の非小細胞肺がんの国内第Ⅱ相臨床試験(一次化学療法),国内第Ⅰ相臨床試験,国内第Ⅰ相継続試験および非小細胞肺がん(二次治療以降)を対象とした国内第Ⅱ相臨床試験でのデータ(タルセバR錠25 mg・タルセバR錠100 mg 添付文書)*3: 化学療法未治療のEGFR 遺伝子変異を有する非小細胞肺がん患者を対象とした国際共同第Ⅲ相臨床試験における安全性評価,化学療法既治療の非小細胞肺がん患者を対象とした国内第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験の第Ⅱ相部分でのデータ(ジオトリフR錠20 mg・ジオトリフR 錠30 mg・ジオトリフR錠40 mg・ジオトリフR錠50 mg 添付文書)* 4: EGFR T 790 M 変異陽性の非小細胞肺がん患者を対象とした国際共同第Ⅰ / Ⅱ相試験(AURA 試験)の第Ⅱ相部分および国際共同第Ⅱ相試験(AURA 2試験)の併合成績における日本人集団でのデータ(タグリッソR錠40 mg・タグリッソR錠80 mg 添付文書)薬物名N 症例選択脳転移巣に対する奏効率全生存期間報告者ゲフィチニブ17 EGFR Mt あり82% ─ Porta et al.ゲフィチニブ orエルロチニブ28 EGFR Mt あり83% 15 . 9 カ月Park et al.ゲフィチニブ9 EGFR Mt あり89% ─ Liゲフィチニブ orエルロチニブ23アジア人非喫煙者74% 18 . 8 カ月Kim et al.エルロチニブ40 ─ 86% 11 . 8 カ月Welsh et al.ゲフィチニブ41 EGFR Mt あり88% 21 . 9 カ月Iuchi et al.アファチニブ32EGFR Mt ありTKI 既治療35% 9 . 8 カ月Hoffknecht et al.表3各EGFR-TKIの脳転移巣に対する効果EGFR Mt:EGFR -mutant〔参考文献13)より引用改変〕