カレントテラピー 35-9 サンプル

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カレントテラピー 35-9 サンプル

Current Therapy 2017 Vol.35 No.9 33847米に比して罹患年齢の低いわが国の乳癌再発リスク診断において,注意すべき傾向であると思われる.このことから,医療経済的には多遺伝子アッセイを用いて化学療法を減らすことも有用であるが,若年患者のなかに数多く存在するHigh -risk症例を多遺伝子アッセイにて適切に見出し,化学療法を追加施行することも重要であることが示唆された.また95GCはhistological grade 1, 2, 3群の予後をそれぞれさらにHigh-risk/Low-risk 2群に分けることが示された3).術前化学療法P -FEC/P -FACを施行したER陽性乳癌 計359例を対象にした検討においては,術前化学療法の奏効率〔pathological complete response(pCR)〕は,95GCのHigh-risk群のほうがLow-risk群に比して有意に高率であった4).さらに,術後ホルモン療法のみを施行したER陽性乳癌(リンパ節転移陽性,n=252)においてはHigh -risk群はLow -risk群よりも有意に予後不良であった(図2左)のに対して,化学療法を施行したER陽性乳癌の2コホート(n=72, n=292)においてはHigh -risk群の予後が改善しLow-risk群との有意差が消失していたことから,High -risk群へは予後改善の意味において化学療法の上乗せ効果があることが示唆された(図2右)4).したがって,ER陽性乳癌患者においては,再発しやすく化学療法が効きやすいHigh-risk群は術後化学療法の良い適応であり,再発しにくく抗癌剤が効きにくいLow -risk群はホルモン単剤治療の良い適応であると考えられた.21GC(Oncotype DXRのマイクロアレイCEL fileを用いた代理解析法 http://www.recurrenceonline.com/)(臨床使用不可)との比較においては,95GCは21GCがIntermediate -riskと判定した患者群を,さらにHigh -riskとLow -risk に有意に分類することが可能であった(図1b, c).この点においてIntermediate-risk群を設けない95GCは有利であると考えられた.2 95GC特徴CurebestR 95GCは,2013年にシスメックス社より解析受託サービスが開始された.現在,国内契約病院は50施設以上に達している.実用化に際して,乳癌手術標本からの癌組織の採取は,4mm径の生検トレパン(biopsy punch)を用い,RNAの分解を防ぐ保存液RNAlaterR中に生検体を保存し,冷蔵保存しつつ検査施設に送るという手順になる.室温での保存も1週間以内であれば可能である.サンプルの凍結は必要としない.術前生検にてER陽性/HER2陰性を確認しておけば,サンプル提出までの取り扱いは容易である.生検体を利用することで検査結果を早く得ら0 20 40 60 80 100 12010080604020095GCHigh-risk 229Recurrence Free SurvivalPost Operative monthsLog Rank p<0.0001n=639Low-risk 4100 20 40 60 80 100 12010080604020021GC(Recurrence Online)a b cHigh-risk 107Post Operative monthsLog Rank p<0.0001n=639Low-risk 4270 20 40 60 80 100 12010080604020095GCIntermediate-risk patientsHigh-risk 55Post Operative monthsLog Rank p=0.0099n=105Low-risk 50Intermediate-risk 105図1 独立したvalidation set 639 例を対象とした95 GC, 21 GC の予後予測の結果(全例ER 陽性リンパ節転移陰性で術後ホルモン療法のみを施行した)a:95 GC によるLow, High 2 群の分類結果.b:21 GC によるLow, Intermediate, High 3 群の分類結果.c:21 GC のIntermediate risk群をさらに95 GC でLow, High 2 群に分類した結果.