カレントテラピー 35-9 サンプル

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Current Therapy 2017 Vol.35 No.9 9823報告されている5),6).また,一般の男性の乳癌罹患率は0.1%であるのに対し,BRCA1 で1~2%,BRCA2 は5~10%の乳癌罹患リスクを有する2).BRCA 変異陽性癌の特徴は一般に悪性度の高いものが多い.BRCA1乳癌は,①周囲組織に対して球状に圧排性発育する充実腺管癌の病理組織像,②組織学的核グレードが高い,③エストロゲン受容体,プロゲステロン受容体ともに陰性で,かつHer2の過剰発現のないトリプルネガティブ乳癌の割合が約70%,であり,BRCA2 乳癌の特徴は①病理組織像は一般の乳癌とほぼ変わらない,②組織学的核グレードが高いこと,また,BRCA1/2 卵巣癌の病理学的特徴として,ハイグレードの漿液性腺癌が多いこと7),BRCA1/2 前立腺癌ではGleason scoreが高いものが多く予後不良前立腺癌が多いと報告されている8).このような悪性度の高い癌易罹患性の体質に対し,海外ではすでに20年以上前より疫学ならびに臨床研究が開始されている.乳房MRI検診によりBRCA 陽性乳癌の早期発見9),片側乳癌発症後の対側リスク低減乳房切除の発症予防と予後の改善10),リスク低減卵管卵巣切除術による卵巣癌発症予防と生命予後の改善11),前立腺癌PSA検診の有用性12)等の海外の長年にわたる大規模な臨床研究の結果,HBOCに対する検診や予防的外科治療を含む医学的管理のガイドラインが作成されている(表1)13).2 BRCA1/BRCA2 遺伝子と遺伝学的検査BRCA1 およびBRCA2 はDNA損傷修復にかかわり常染色体優性遺伝形式をとる.1991年にMary -ClairKingらが家族性乳癌患者とその家族を対象に連鎖解析によりBRCA1 を第17番染色体長腕にマップし,1994年に三木らによりBRCA1 を単離同定した14).BRCA2 はその翌年にWoosterらがBRCA1 変異陰性で男性乳癌患者を含む乳癌家系を解析しBRCA2 を同定した15).BRCA1 は17q21上にあり,1,863個のアミノ酸からなるタンパクをコードし,24個のエクソンよりなる.BRCA2 は13q12- 13にあり,3,418個のアミノ酸からなるタンパクをコードし,26個のコーディングエクソンを含む27個のエクソンを形成する巨大な遺伝子である.いずれもエクソン2の途中よりコーディング領域がスタートするタンパクである.挿入や欠失によるフレームシフト,ナンセンス変異,スプライシング部位の変異が大部分で,ミスセンスによる変異は少ない.変異部位は遺伝子上の広い範囲に分布し,変異が特定の領域に集中するホットスポットは認められず,全エクソン(境界部イントロン領域を含む)のPCR-direct sequenceを行う必要がある.時にエクソン大規模欠失による変異の報告も認められる.女性・18 歳より乳房を意識する.・25 歳より6~12 カ月毎に医療機関での乳房検診を行う.・25~29歳の間,またはその家系状況(30 歳以下の乳癌罹患者)に応じて,年に1回の乳房MRI(MRIが利用できない時はMMG)を施行する.・30~75 歳では,年に1 回の乳房MRIとMMG を施行する.・75 歳以上では,個別に管理を検討する.・リスク低減乳房切除について話合う.・化学的予防についてオプションとして考慮する.・35~40 歳でリスク低減卵管卵巣切除を推奨する(挙児希望,罹患リスク,がん予防効果,更年期障害対策を良く話合ったうえで).・BRCA 2 変異陽性者は,BRCA 1 変異陽性者より8~10歳発症年齢が高いので,既に乳癌に対する最大の予防策(両側の乳房切除等)を行っていれば,40~45 歳までリスク低減卵管卵巣切除を遅らせても良いだろう.・リスク低減卵管卵巣切除を施行しない場合,卵巣癌の定期検診として感度・特異度ともに十分なエビデンスを認めていないことを理解したうえで経腟超音波+ CA 125採血のスクリーニングを医師の判断で30~35 歳から考慮しても良い.男性・35 歳から,乳房自己検診を開始する.・45 歳から,前立腺癌の検診を開始する.・40 歳時に,MMG検査(その後は必要に応じて).表1HBOCの医学的管理〔参考文献13)より引用一部改変〕