カレントテラピー 36-11 サンプル

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カレントテラピー 36-11 サンプル

30 Current Therapy 2018 Vol.36 No.11107012カ所の平均値を用いていることもある(図1C).しかしIMT計測の再現性は,総頸動脈または頸動脈分岐部の遠位壁で最も良好なため,臨床大規模研究では総頸動脈の遠位壁のIMTの最大値または数点計測した平均値が用いられることが多い.大規模研究のメタアナリシスでは,頸動脈IMTが1SD増加するごとに脳卒中リスクが1.32倍,心筋梗塞リスクが1.26倍高まることが報告されている2)~5).われわれは心血管イベントの既往があるか動脈硬化危険因子を1つ以上有する外来通院患者を対象に,頸動脈超音波検査を施行し,前向きに心脳血管事故,認知症発症を追跡するOSACA2研究を実施し,頸動脈IMTは外来通院ハイリスク患者においても疫学研究同様に将来の心脳血管イベント発症リスクの独立した予測因子であることを明らかにした(図2)6).頸動脈IMTは総頸動脈,頸動脈分岐部,内頸動脈いずれの部位で測定しても,心血管イベントと関連するが,プラークに至らないびまん性のIMT肥厚は血管イベントとの関連が低いことが報告されている.したがって血管イベントリスクを評価するうえで頸動脈病変を評価する際には,プラークを含めたIMTの評価が重要であることを強調しておきたい.頸動脈IMT測定が広く普及した結果,複数の大規模研究のメタ解析研究が行われるようになった.USE -IMT研究7)とPROG -IMT研究8),9)である.著者はUSE -IMT研究に参加したが,複数の研究で最も再現性良く測定できるのが総頸動脈IMTであったので総頸動脈IMTが採用された.USE -IMT研究では14研究,45,828例を対象とし,PROG -IMT研究では16研究,36,984例が対象となり前向きに心血管事故との関連が検討された.USE -IMT研究では頸動脈IMTは心血管イベントと関連することが確認された.PROG -IMT研究では観察開始時の頸動脈IMTは心血管イベントと関連したが,観察期間中のIMTの変化はイベント発症と関連しなかった(図2).これらの結果は頸動脈IMT測定は将来の心血管事故ハイリスク患者の選別に有用ではあるが,現在サロゲートマーカーとして用いられている経時的なIMT変化と血管イベントとの関連は明らかでないことを示している.Ⅳ 頸動脈プラーク性状診断プラーク性状の診断が必要となるのは,1.5mmまたは2mm以上のある程度大きなプラークの場合で,特に狭窄率が50%を超える場合に重要となる.エコー追跡期間(日)The lowest tertile(IMT:~0.88mm)The middle tertile(IMT:0.90-1.18mm)The highest tertileTotal number:900 (IMT:1.20mm~)Log Rank Test:p<0.0001CVD free rate1.000.900.950.850.800 1,000 2,000図2頸動脈IMTと心血管イベント外来通院患者900例を対象とし,観察開始時に頸動脈IMTを計測し平均2.7年追跡調査したOSACA2研究の結果を示す.頸動脈IMT3分位ごとの解析では,最もIMTの肥厚のみられる群(IMT最高値群)で有意に心血管イベント発症が多く観察された.〔参考文献6)より引用〕