カレントテラピー 36-11 サンプル

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カレントテラピー 36-11 サンプル

Current Therapy 2018 Vol.36 No.11 85治療薬解説1125床試験の概要を述べる.1 対象患者心筋梗塞の既往があり,血液検査でCRP 0.2mg/dL以上の患者を対象とした.ただし,以下の状態:慢性または再発性の炎症性疾患,皮膚基底細胞癌を除く癌の既往,免疫不全状態(疑いを含む),結核の既往およびハイリスク,ヒト免疫不全ウイルス関連疾患,他の抗炎症療法の実施中の患者は除外した.2 試験デザイン10,061例の対象患者における心血管イベントの再発抑制について,標準治療に加えてカナキヌマブを投与した時の有効性,安全性,および忍容性を検討する無作為化,二重盲検,プラセボ対照で実施された試験である.当初,被験者はプラセボ群,カナキヌマブ150mg群,カナキヌマブ300mg群にランダムに割り付けたが,その後カナキヌマブ50mgも追加され,最終的には,プラセボ群,カナキヌマブ50mg群,カナキヌマブ150mg群,カナキヌマブ300mg群は1.5:1:1:1に割り付けられた.投与方法は3カ月に1度の皮下注射であるが,300mg群のみは最初は2週に1度の投与で投与量を漸増し,300mgに達したら他の群と同様に3カ月に1度の投与とした.主要評価項目は非致死性心筋梗塞,または非致死性脳卒中,心血管死の複合エンドポイント〔3 pointmajor adverse cardiac events(MACE)〕の初回発現までの時間で,特にカナキヌマブ150mgでの心血管イベント抑制を主要目的として試験が実施された.副次的評価項目は,3 point MACEおよび予定外の血行再建術を要する不安定狭心症による入院からなる複合エンドポイントの初回発現までの時間,ランダム化時に前糖尿病状態が認められた患者での2型糖尿病の新規発症までの時間,非致死性心筋梗塞・非致死性脳卒中および全死亡からなる複合エンドポイントの初回発現までの時間,および全死亡までの時間とされた.追跡期間の中央値は3.7年で,試験期間は約6年であった.3 試験結果1次エンドポイントについては,プラセボ群(4.50例/100人・年)と比較してカナキヌマブ50mg群での有意な抑制効果は認められなかった(7%の低下がみられたが有意差はなかった)が,150mg群と300mg群ではそれぞれ,15%および14%の有意な低下がみられた(図3).ただし,カナキヌマブ150mgのMACEに対する効果は,心筋梗塞の再発に対する24%の相対リスク低下が関与しており,心血管死の発生リスクは10%の低下傾向であった.さらにカナキヌマブ150mg投与でhs-CRPが中央値以下となった群においてはMACE発現が27%低下した.二次エンドポイントではカナキヌマブ50mg群以外でプラセボ群と比較して有意な低下がみられた(50mg群で10% 低下したが有意差はなかった.150mg群と300mg群でともに17%低下し有意差がみられた).また,カナキヌマブ150mg投与でこの2次一次エンドポイント0.85 (0.74-0.98)二次エンドポイント0.83 (0.73-0.95)心筋梗塞,脳卒中,総死亡0.85 (0.75-0.96)心筋梗塞0.76 (0.62-0.92)不安定狭心症による入院0.64( 0.44-0.94)血管形成術施行0.68 (0.58-0.81)脳梗塞0.98( 0.71-1.35)心血管死0.88 (0.70-1.12)全死亡0.92( 0.78-1.09)←Favors canakinumab Favors placebo→図3カナキヌマブ150mgとプラセボの比較(CANTOStrial)〔参考文献7)より引用改変〕