カレントテラピー 36-11 サンプル

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86 Current Therapy 2018 Vol.36 No.111126エンドポイントのひとつである予定外の血行再建術を要する不安定狭心症による入院の相対的リスクは36%低下した.48カ月後のプラセボ群と比較したhs -CRPの低下(中央値)は,カナキヌマブ50mg群で26%低下,150mg群で37%低下,300mg群で41%低下し,すべて有意差がみられた.12カ月後のIL -6もベースラインからカナキヌマブ50mg群で19.1%低下,150mg群で33.8%低下,300mg群で37.7%低下し,すべて有意差がみられた.一方で,48カ月後の脂質値(LDL -C,HDL -C,トリグリセリド)はカナキヌマブ群ではベースラインからの有意な変化はみられなかった.全死亡率についてはプラセボ群と比較してカナキヌマブ群全体では有意な群間差はなかった.重篤な有害事象は,カナキヌマブ50mg群で11.41件/100人・年,150mg群で11.71件/100人・年,300mg群で12.33件/100人・年,プラセボ群11.96件/100人・年であった.プラセボ群と比較してカナキヌマブ群で多かったのは,重篤な有害感染症や敗血症,好中球減少,血小板減少症であった.また,悪性腫瘍に関する安全性評価において,カナキヌマブ300mgを投与された群でプラセボ群と比較して肺癌による死亡率を77%低下させ,肺癌の発症率を67%低下させた.悪性腫瘍全体でも死亡数はカナキヌマブ群でプラセボ群に比べ半減しており,抗炎症療法が悪性腫瘍にも有効である可能性が示唆された8()図4).事前に計画されていた探索的評価項目の二次解析9)によりカナキヌマブの初回投与から3カ月後にhs -CRP 0.2mg/dL未満を達成したグループでは,プラセボ群と比較して,MACEの発現リスクが25%有意に低下したことが示された.また,このグループでは心血管死および全死亡の発現がともに有意に31%低下した(図4).カナキヌマブ投与3カ月後にhs -CRP値が0.2mg/dL以上だった患者では,これらの評価項目に有意な低下はみられなかった.また,本解析では,治療必要数(number of patients needed to treat:NNT)についても評価され,hs-CRP 0.2mg/dL未満を達成したグループにおけるNNTは16と推定された.一方,CANTOS投与群全体のNNTは24と推定された.Ⅴ 今後の展開動脈硬化症の形成に炎症が関与していることは以前から指摘されていた.そのなかでいくつかの大規模試験からHMG -CoA還元酵素阻害剤(スタチン)の心血管イベント抑制効果がコレステロール低下作用による二次的な効果だけでは説明がつかないと考えられ,スタチンが血管壁に直接作用を及ぼしている可能性が示唆され,プレイオトロピック効果(多MACE0.75( 0.66-0.85)カナキヌマブ150mgでhs-CRP<0.2mg/dLを達成した群心血管死0.69 (0.56-0.85)カナキヌマブ150mgでhs-CRP<0.2mg/dLを達成した群全死亡0.69( 0.58-0.81)カナキヌマブ150mgでhs-CRP<0.2mg/dLを達成した群肺癌の発生率0.61 (0.39-0.97)カナキヌマブ150mg肺癌の発生率0.33( 0.18-0.59)カナキヌマブ300mg肺癌による死亡率0.23( 0.10-0.54)カナキヌマブ300mg←Favors canakinumabFavorsplacebo→図4CANTOS trialの二次解析〔参考文献8),9)より引用改変〕