カレントテラピー 36-11 サンプル

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Current Therapy 2018 Vol.36 No.11 19動脈硬化の病理と発症メカニズム1059る.卵や牛肉に含まれるホスファチジルコリンは,腸内細菌によりトリメチルアミンに変換され,トリメチルアミンはさらに肝臓でflavin -containing monooxygenase3(FMA3)により酸化され,trimethylamineN-oxide(TMAO)へ代謝される(図3).近年の報告では,TMAOはマクロファージを泡沫化させ動脈硬化を進行させ,TMAO高値では心筋梗塞リスクが増加すると言われており,腸内細菌に介入するために抗生剤投与や糞便移植の研究が行われている15).さらに,加齢に伴って遺伝子変異を有するクローン性造血がみられるようになるが,血液学的な異常はみられない場合clonal hematopoiesis of indeterminatepotential(CHIP)と称され,血液腫瘍のハイリスク状態であることが知られている.一方,動脈疾患患者のエクソーム解析の結果では,CHIP保有者は冠動脈疾患リスクが1.9~4倍高いことが報告された.このCHIPを導入したマウスは動脈硬化になりやすいことも報告され,CHIPは動脈硬化促進的に作用する可能性がある16).また,好中球におけるneutrophil extracellulartraps(NETs)も動脈硬化に関与している17).NETsは,大きな網目状の構造で凝集が解除されたクロマチン,好中球由来の核,細胞質,顆粒蛋白から構成されており,これらは病原体を網に絡めとり,殺すことができる.動脈硬化においては,NETs由来のDNAやカテリシジンなどの顆粒蛋白が血管壁の樹状細胞を刺激し,強いⅠ型インターフェロンの食事由来ホスファチジルコリンベタインコリン腸内細菌叢トリメチルアミントリメチルアミン肝臓のFMA3アテローム性動脈硬化脳卒中心筋梗塞死亡図3食事由来ホスファチジルコリンと腸内細菌叢,動脈硬化の関連〔参考文献15)より引用改変〕