カレントテラピー 36-12 サンプル

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カレントテラピー 36-12 サンプル

18 Current Therapy 2018 Vol.36 No.121166認し,他院には確認要求をする.他院はメールで確認要求を知り,システムで入力情報を見て,自院の電子カルテ番号から患者を確認して確認済みの入力をするとシステムは自動的に確認された病院の患者IDデータをPIXデータとして保存し,PIX情報を使ってGWサーバが各病院のSS - MIX2サーバ,DICOMサーバからデータを収集することになる.Ⅵ オンライン診療のシステム救急対応など他にも条件があるが,原則的に慢性疾患の外来患者について一定期間の外来診療を行った場合に,外来診療をオンラインで動画像の相互通信システムを用いて診療することができるのが「オンライン診療」である.しかし,実際に運用されるシステムは,各社がスマートフォン用のアプリを作成し,患者が無料でアプリをダウンロードし,アプリで現れる医療機関を選択し,予約してオンライン診療を受診する仕組みである.ビジネスモデルは医療機関との契約による仕組みである.システムによっては,スマートフォンに記録している血圧,体重等の情報や症状のデータが利用されるものもある.その場合の生体情報や症状のデータはサーバに保存される.データは医療機関でも共有でき,オンライン診療前に医師,看護師が確認できる.現状,ベンダー毎のシステムのため,囲い込みの問題がある.大規模病院で利用するためには,動画像送受信や,モニター機器のデータ通信,症状データが標準化されてベンダー間で相互に利用される必要がある.Ⅶ 災害時のシステム,救急医療でのシステム東日本大震災では事前に石巻赤十字病院と日本海側の山形市立病院済生館の間で電子カルテの遠隔地相互保存がされていたことが,サーバ室を津波で流された石巻赤十字病院のシステム再開に有効であった事例がある.また,岩手県周産期電子カルテネットワークのサーバが盛岡市の岩手医科大学に設置されていて,母子手帳を消失された方も妊産婦健診データが避難先病院でも利用できた.これ以降,電子カルテデータの遠隔保存は進んでいる.42の国立大学病院の電子カルテデータはSS -MIXの形式で札幌と福岡のデータセンターに保存され,災害時に機能できない大学病院の電子カルテデータをDMATや近隣の病院でインターネットを介してWeb参照できるシステムThe Gemini Project16)が2014年から稼働している.この場合のビジネス継続性(business continuity planning:BCP)には2つの意味があり,患者の診療継続性にはベンダーを超える標準化データが他の医療機関でインターネット等を介して利用できる仕組みが必要である.災害を受けた医療機関のBCPにはベンダー仕様のデータを遠隔地のバックアップ用のベンダー仕様サーバから災害時のネットワークを介してアクセスできること,あるいは,データのみが遠隔地にバックアップされていて,早期にベンダー仕様サーバを設置し業務を再開する仕組みが必要である.後者の場合は日常利用のデータをミラーリングして遠隔地に同じデータをHDD等に保存することで成立するので比較的安価に対応できる.一方,前者の場合には,利用する端末数に対応するサーバが必要になる.また,接続のためにネットワークの確立とその病院機能が残っているのかも検討する必要がある.心臓血管の緊急症例や脳卒中の急変時の救命のため,初期対応病院から転送して専門病院での手術を効率的に行うために,CT,MRIの画像や問診診察所見,検査データを2つの病院で共有するシステムが運用され始めている.初期対応病院のCT,MRIの画像をスマートフォン等で専門病院の関係者が事前に参照でき,チャットなどで問診診察所見,検査データを共有し,患者搬送の判断と手術準備を迅速に行うものである.技術的にはDICOM画像をスマートフォンで参照できるシステムが厚労省に認められており,これを利用している.病院の診療情報管理や個人情報保護法等に関する議論が今後,必要である.海外ではシステム化され救急医療のための動画像通信も利用されるとのことである.