カレントテラピー 36-12 サンプル

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Current Therapy 2018 Vol.36 No.12 45各診療域の遠隔医療1193も明確な目標を立てることができることは大きなメリットである(図3).本研究のなかでは遠隔診療には対応していないが,このようなICTを活用した解析・レポーティングシステムが実用化されれば,今後の遠隔地の診療支援に繋がることが期待できる.さらに,個人のスマートフォンと高血圧治療がコラボレーションした診療が始まろうとしている.スマートフォンの普及率は年々上昇しており,国民の半数以上が手にする時代となった.それに伴い,アプリケーションも多岐にわたり発売されているが,例えば,健康志向のあるスマートフォン利用者は,自身の運動量とアプリケーションが連動するソフトを自身のスマートフォンにダウンロードし,運動量の自己管理を行っていることが多い.自治医科大学 内科学講座循環器内科学部門の研究グループは,疾患治療用プログラム医療機器として「治療アプリR」の研究開発を行う株式会社キュア・アップと産学協同研究において,「高血圧治療アプリ」を開発,臨床研究を開始している.このアプリは,IoT血圧計を用いた血圧モニタリングと生活習慣ログデータから,個人の血圧特性と生活習慣を自動分析し,各自に最適な治療ガイダンス(食事,運動,睡眠等に関する知識や行動改善を促すための情報)を提供することで,生活習慣改善を基本として高血圧に対する治療効果を導くことを目指している.今後は,高血圧の治療効果に加え,患者の治療に対する認知,動機づけや行動変容に関する解析も行われ,いずれは,プログラム医療機器としてのエビデンスを蓄積し,遠隔診療のツールとしての活用も視野に入れている.日常生活で身近なデバイスとなっているスマートフォンに,生活習慣病である高血圧治療をリンクさせることにより,高血圧患者にとっての治療へのモチベーションの維持・向上に繋がり,受診頻度が少なくとも適切な血圧管理・治療介入を行うことが可能となる日も近いかもしれない.Ⅵ おわりに高血圧診療については,従来の診療のみでは限界があるが,遠隔医療を取り入れることにより,診療における選択肢の幅が広がると考えられる.最近では遠隔医療導入によるいくつかのエビデンスも示さWebシステムを用いたデータ登録および解析各施設にて患者情報およびABPMデータをWeb登録患者基本情報登録ログインABPMデータアップロードデータのグラフ表示・ABPMデータアップロード後,各施設にてすぐにデータの確認が可能・複数回測定したデータの管理も容易自動レポート作成図3HI-JAMP研究の解析・レポーティングシステム