カレントテラピー 36-12 サンプル

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Current Therapy 2018 Vol.36 No.12 71155遠隔医療の現況と展望企画特定非営利活動法人日本遠隔医療協会特任上席研究員長谷川高志2018年度はオンライン診療料新設や実施指針制定など,日本の遠隔医療の大きな転換点となった.その衝撃は大きく,オンライン診療が多くのメディアに取り上げられている.しかしスマートフォンなどによるDoctor To Patient(DtoP)形態に関心が集中して,遠隔医療の全体像がとらえにくくなっている.また,オンライン診療だけが遠隔医療ではないにもかかわらず,限られた展開しか考えられていない.遠隔医療の研究は30年以上の歴史をもち,高精細な画像やバイタル情報を用いて,プライマリ・ケアから急性期,救急と多くの医療課題に挑戦してきた.その全体像を概観して,今後の活用と展開の道を探りたい.遠隔医療について十分な知識をもつ医師は少なく,“離れた医師が診療できれば有利だ”と考えつつも,診療行為の制約が大きいことは知られていない.オンライン診療に伴うリスクや対面診療との組み合わせの重要性なども知られていない.結果として,効果が低い,負担が大きいなど,期待外れで中断することも珍しくない.本特集では狭いトピックスに囚われることなく,長年蓄積された研究の全体像を紹介する.遠隔医療はDoctor To Doctor(DtoD)形態から始まり,放射線や病理の画像診断に幅広く活用され社会に定着している.一方でプライマリ・ケア,慢性疾患の指導管理,救急医療など地域課題について,普及定着した手法が少ない.そこで本特集ではDtoP形態に焦点を当てて,研究が進んだ遠隔医療手法や実施形態,医師法や診療制度上の扱い,情報セキュリティやプライバシー保護など,情報を扱ううえでの重要課題,システム技術と標準化動向や利用可能な機器,災害医療や救急医療などの地域課題への基本的な観点を解説する.対面診療と組み合わせる手法,有効性が実証されたモニタリングやデバイス治療,オンライン診療での観察手法,診療できる疾病・向かない疾病など,重要な知識を幅広く展望する.具体的手法として,家庭血圧の管理,慢性心不全の遠隔モニタリング,在宅透析,心不全のデバイス治療,糖尿病の脱落防止,睡眠時無呼吸症候群の陽圧式酸素療法や在宅酸素療法の遠隔モニタリングなど,長年蓄積された研究成果から現場に応用しやすい手法を紹介する.さらに将来への展望として,スマホアプリによる慢性疾患の管理など,新技術も概観する.エディトリアル