カレントテラピー 36-4 サンプル

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10 Current Therapy 2018 Vol.36 No.4316Heart Failure Analysis and Registry in theTohoku District(CHART)-2研究における65歳以上の高齢者の割合は68%であり,75歳以上の後期高齢者は全体の34%を占めていた11).また,わが国における全国規模の急性心不全観察研究であるAcuteDecompensated Heart Failure Syndromes(ATTEND)研究では,入院を要する非代償性心不全患者の半数以上は75歳以上であり,さらには85歳以上が約20%を占めていた12).急性および慢性心不全における高齢者が占める高い割合は,わが国においても高齢心不全の有病率が高いことを示す傍証である.Ⅳ 高齢心不全の患者背景の特徴高齢心不全の患者背景の特徴としては女性の割合と左室駆出率(ejection fraction:EF)が保持されたheart failure with preserved ejection fraction(HFpEF)の割合が高いことである13).心不全におけるHFpEFの割合は増加傾向であり,Olmsted郡における入院心不全患者におけるHFpEF(EF?50%)の割合は2000~2003年の47.8%から2004~2007年には56.9%(2008~2010年は52.3%)へと上昇していた14).わが国では心不全におけるHFpEFの割合の増加は,より顕著でありCHART -2研究の先行研究であるCHART -1研究では症候性心不全(Stage C/D)におけるHFpEF(EF?50%)の割合は50.6%(登録期間:2000~2004年)であったが,CHART - 2研究(登録期間:2006~2010年)では68.7%を占めていた11()図3).欧州心臓病学会主導で行われたEuro Heart FailureSurveyⅡ(EHFSⅡ)は30カ国133施設が参加し3,580人の心不全患者(平均年齢,約70歳)が登録された観察研究である13).同研究における80歳以上の心不全における女性の割合は56%(vs.80歳未満44%)であり,HFpEF(EF>45%)の割合は39%(28%),中等度から高度の大動脈弁狭窄症の割合は16%(7%)であった.さらに心血管疾患である高血圧(80歳以上 67% vs. 80歳未満 61%)や心房細動(48% vs. 36%)も高頻度に合併を認めた13).また心疾患以外の併存疾患としては貧血(47%vs. 37%)や慢性閉塞性肺疾患(22% vs. 19%)の1.2%4.8%13.5%1.5%6.6%10.6%4.0%9.7%17.4%0%2%4%6%8%10%12%14%16%18%20%米国・女性米国・男性欧州(オランダ)・男女40-59歳65-74歳60-79歳75-84歳80歳以上85歳以上図2米国と欧州(オランダ)における心不全の年齢別有病率〔参考文献9),10)より作図〕47.8% 50.6%56.9%68.7%52.3%0%10%20%30%40%50%60%70%80%90%100%Olmsted2004-2007年Olmsted2000-2003年Olmsted2008-2010年CHART-12000-2005年CHART-22006-至現在図3 心不全におけるHFpEFの割合(米国と日本)〔参考文献11),14)より作図〕