カレントテラピー 36-6 サンプル

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10 Current Therapy 2018 Vol.36 No.6512Ⅲ CTによる膵癌の局所浸潤の評価膵癌の切除可能性診断に加えて膵癌の予後の推定や治療法の選択には,その進展度を正しく評価する必要がある.膵癌の進展度をCTで評価する場合のポイントを以下に列記する8).1 漿膜浸潤(S),後腹膜浸潤(RP)膵頭部癌では,前方(S)あるいは後方浸潤(RP)は,腫瘍に連続したspicula様の突出を認める場合には浸潤ありと診断できる(図4).膵癌が膵表面まで達しているが,明らかなspiculaが指摘できない場合には,判断に迷うことが多い.CTでは浸潤がないように見えても,組織学的には微少なSやRPが存在する場合があるからである.2 神経叢浸潤(PL)膵頭部癌や膵鉤部癌では腹腔動脈周囲や上腸間膜動脈周囲の神経叢に沿って浸潤する傾向にある9).ダイナミックCTでは,膵頭部の腫瘍から連続性を保って腹腔動脈や上腸間膜動脈の近位部に向かう棍棒状や索状の軟部陰影が認められれば,神経叢浸潤を疑うことができる(図5)10),11).神経叢浸潤が増大し,腹腔動脈や上腸間膜動脈周囲を取り囲み,ちくわ状を呈することがある(図6).A.ダイナミックCT後期動脈相B.平衡相図260歳代女性,膵体部癌,平衡相で等吸収膵体部の乏血性膵癌はダイナミックCT動脈相(A)では低吸収(矢頭)を示すが,平衡相(B)では遅延性に濃染して周囲膵と等吸収を呈している.膵癌は線維性間質が豊富な腺癌であり,これがダイナミックCTでの遅延性濃染の原因となる.CBD CBDA.ダイナミックCT動脈相B.平衡相図350歳代男性,膵頭部癌,平衡相で濃染閉塞性黄疸で発症.ダイナミックCT動脈相(A)では,膵内総胆管(CBD)狭窄部には明らかな腫瘍は指摘できない.しかし,平衡相(B)では,胆管狭窄部に接して遅延性濃染を示す腫瘍(矢頭)を指摘できる.