カレントテラピー 36-7 サンプル

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58 Current Therapy 2018 Vol.36 No.7664を待っているところであるため,絶対適応とはなっていない.この内視鏡的治療が適応にならないM0胃癌,または内視鏡的治療の結果,内視鏡的根治度C(eCuraC)のM0胃癌が手術の適応となる.eCuraAとはUL0の場合,腫瘍径を問わず,分化型癌優位で,pT1a,HM0,VM0,Ly0,V0の胃癌,UL1の場合,3cm以下の分化型癌優位で,pT1a,HM0,VM0,Ly0,V0の場合をいう.eCuraBとは腫瘍が一括切除され,2cm以下のUL0,未分化型癌優位でpT1a胃癌,または,3cm以下の分化型優位でpT1b(SM1)胃癌で,かつHM0,VM0,Ly0,V0の場合をいう.ただし,SM浸潤部に未分化型成分のあるものはeCuraBとはしない.このeCuraAとeCuraBに当てはまらない胃癌がeCuraCとなり,手術適応となる.内視鏡的治療が適応とならないM0胃癌のうち,Bulky N(腹腔動脈分枝周囲のリンパ節が切除可能限界近傍まで腫大している)にのみ,術前化学療法を行うことが弱く推奨されている.それ以外の内視鏡的治療が適応とならないM0胃癌の初回治療は手術である.胃の切除範囲はT1腫瘍の場合には肉眼的に腫瘍から2cm以上離して切離断端を確保する,T2以深の場合,限局型では3cm以上,浸潤型では5cm以上を確保する.リンパ節郭清範囲は,内視鏡治療の適応とならないcT1a胃癌および1.5cm以下の大きさの分化型cT1abかつcN0の胃癌に対してはD1.D1の適応とならないT1腫瘍でcN0の胃癌に対してはD1+.これら以外の治癒切除可能なcT2以深の胃癌に対してはD2郭清を行う.リンパ節郭清範囲の部位は胃切除の術式により決まっている(表).M1胃癌に対しては他の非治癒因子のないNo. 16a2/b1リンパ節転移,または,切除可能なH(肝転移),または,CY1(腹腔洗浄細胞診陽性),軽微なP1(胃周囲や大網の表面などに少数個存在する結節で,胃切除術の際に容易に切除可能なもの)の場合には,手術+化学療法,または,術前化学療法+手術もあり得るが,それ以外のM1は基本的には化学療法,放射線療法,緩和手術,対症療法の組み合わせとなり,治癒はほとんど望めないと考えてよい.昨今,腹腔鏡による手術が盛んに行われるようになっている.幽門側胃切除術が適応となるcStage Iは日本内視鏡外科学会のガイドラインにおいて,推奨度Bとなっている.しかし,経験が少ない施設では合併症が増加するという報告もあり,適応には施設ごとの勘案を要する.腹腔鏡手術が侵襲が少ない手術であることは事実であり,拡大視効果も有用であるが,治らない胃癌を治せるという新手法ではない.だから,施設ごと,術者ごとに得意とする方法で行えばよい.本稿では,ステージによる治療法の場合分けをおおむね,文章で述べたが,胃癌治療ガイドラインにはフローチャートなどが掲載されているため,参照されたい.Ⅵ 薬物治療胃癌に対する化学療法は大きく分けて,術後補助化学療法と切除不能進行または再発胃癌に対する化学療法とに分類される.術式胃全摘術幽門側胃切除術幽門保存胃切除術噴門側胃切除術D0 D1に満たない郭清D1に満たない郭清D1に満たない郭清D1に満たない郭清D1 No. 1-7 No. 1, 3, 4sb,4d, 5, 6, 7No. 1, 3, 4sb,4d, 6, 7N o . 1 , 2 , 3 a ,4sa, 4sb, 7D1+ D1+No. 8a, 9,11pD1+No. 8a, 9 D1+No. 8a, 9 D1+No. 8a, 9,11pD2 D1+No. 8a, 9,11p, 11d, 12aD1+No. 8a, 9,11p, 12a表術式とリンパ節郭清範囲