カレントテラピー 36-7 サンプル

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Current Therapy 2018 Vol.36 No.7 97703Ⅰ はじめにアコチアミド塩酸塩水和物(以下,アコチアミド,図1)は日本発の薬剤であり,機能性ディスペプシアを対象とした無作為化二重盲検試験でプラセボの効果を有意に上回り,世界で初めての機能性ディスペプシア治療薬として日本で承認され,2013年6月より販売されている薬剤である.その効果は,治療薬終了後4週間の追跡調査の間も維持され(図2)1),24週間(最長48週間)の長期試験でも症状改善後に休薬した症例の半数程度が,その後3カ月にわたり症状消失が維持され〔医薬品インタビューフォーム:機能性ディスペプシア(FD)治療薬アコチアミド,ゼリア新薬・アステラス,2014年6月作成(http://zeriaonline.com/di/acofide/detail/pdf/interview_201408.pdf)(2017/12/30アクセス)〕,アコチアミド中断後にも何らかの影響が残存していることが示唆される.効果予測因子として食後愁訴症候群,付随する精神障害,および広範囲の胃粘膜萎縮が知られ2),再発予測因子として,症状の強さと治療中止が報告されている3).まとめるとアコチアミドは機能性ディスペプアコチアミドの作用点三原 弘*1・南條宗八*2・藤浪 斗*3・安田一朗*4*1 富山大学医学部医師キャリアパス創造センター助教/富山大学第三内科講座*2 富山大学第三内科講座助教*3 富山大学附属病院光学医療診療部准教授*4 富山大学第三内科講座教授上部消化管疾患の現況と今後の展望─ 病態・診断から治療を探るアコチアミド塩酸塩水和物(以下,アコチアミド)は日本発・世界初の機能性ディスペプシア治療薬である.効果予測因子として食後愁訴症候群,付随する精神障害,および高度な胃粘膜萎縮がある.効果があった患者では,その半数で中止後も効果が長期に持続する.再発予測因子に症状の強さと治療中止がある.アコチアミドは健常者の胃運動に変化を起こさないが,機能性ディスペプシア患者の胃運動,症状,不安スコアを改善する.アコチアミドは吸収後,胃組織に分布し,アセチルコリンエステラーゼ阻害とムスカリン受容体M1,M2拮抗作用により神経筋接合部でのアセチルコリン濃度を上昇させ胃運動を促進する.代謝産物の活性は低く,胆汁と尿中から排泄される.中枢移行性は低いが,ラットでの高用量投与実験では中枢神経におけるストレス関連遺伝子の発現変化が報告されている.その他,十二指腸での重炭酸分泌,一過性下部食道括約筋弛緩の正常化,排尿改善効果が報告されている.更なる薬効,毒性研究が進むことが期待される.a b s t r a c tOOOONHNHNHCl 3H2OCH3CH3CH3CH3HOH3CH3CNS図1 アコチアミド塩酸塩の構造式〔医薬品インタビューフォーム:機能性ディスペプシア(FD)治療薬アコチアミド,ゼリア新薬・アステラス,2014年6月作成,http://zeria-online.com/di/acofide/detail/pdf/interview_201408.pdf[2017/12/30アクセス]〕