カレントテラピー 36-8 サンプル

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38 Current Therapy 2018 Vol.36 No.8766鑑別診断:肺癌(特に扁平上皮癌),肺膿瘍,アスペルギルスを代表とする肺真菌症,granulomatosiswith polyangiitis.2 粒状影(図3)肺の末梢構造である細葉を構成する終末細気管支や呼吸細気管支,肺胞道の内腔に肉芽腫病変や乾酪壊死病変が形成されることで,経気道的に分布される小粒状あるいは小結節状の陰影を呈する.この陰影が集簇し,末梢気道が病変で充填されると,HRCTではtree-in-bud appearanceと呼ばれる所見に相当し,空洞性病変と同様に活動性肺結核の所見のひとつとされる6).必ずしも結核に特異的な所見ではないが,結核や非結核性抗酸菌症に特徴的な所見であり,結核を疑うべき根拠となる.鑑別診断:気管支肺炎,マイコプラズマ肺炎,サルコイドーシス,塵肺7).3 浸潤影(図4)細葉内の滲出性病変・繁殖性病変が拡大,融合した病変で,細菌性肺炎に類似する区域性あるいは肺葉性の浸潤影を呈し,陰影の内部にair -bronchogramと空洞陰影を伴うこともある.胸部CT検査では浸潤影の周囲にすりガラス陰影や気道散布性粒状陰影を認めることもあるが,胸部X線では細菌性肺炎との鑑別は困難であることも多く,乾酪性肺炎と呼ばれる.また肺気腫をはじめとする既存肺疾患がある患者,細胞性免疫能が低下した患者では,それら周囲の陰影を認めないこともある.実臨床でも初診時細菌性肺炎として加療されたが改善乏しく,後日肺結核と診断されたり8),気管支鏡検査で他疾患の診断にいたる症例も散見される.重要であるが非特異的な所見であることにも留意が必要である.鑑別診断:細菌性肺炎や肺癌(特に粘液産生型腺癌),器質化肺炎などの間質性肺炎,悪性リンパ腫.4 結節影(図5)結節影を呈する結核には結核腫があり,結核腫は病理組織学的には被包化された小葉性乾酪壊死巣で,胸部X線所見上腫瘍に類似しているので結核腫と呼ばれる.多くは孤立性で,周囲の衛星結節といわれる小結節や経気道散布像は結核腫を疑う所見であるが,陰影が小さいと特徴に乏しい場合も多い.第一a b図3 粒状影a:正面像.左上中肺野に粒状影を認める.b:CT像.左舌区,S6に気道散布性の粒状影を認める.