カレントテラピー 36-8 サンプル

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Current Therapy 2018 Vol.36 No.8 41結核の診断と治療769と呼ばれ,小児に多く認められる.正面像のみでは陰影の確認が難しく,側面像撮影が診断に役立つ場合もある.6 粟粒結核(図7)粟粒結核の実態は血行性散布性結核であり,全身性散布の意味から肺外結核として扱われ,血行散布から3~6週後に胸部X線で明らかになることが多い.粟粒結核における陰影は多くが径1~2mmにおさまる.結節単独では径が2~3mm以上にならないと胸部X線で確認できないことから,発症初期では異常所見を認めないものも多く,診断率は決して高くない10).粟粒結核はしばしば成人呼吸窮迫症候群(acute respiratory distress syndrome:ARDS)を伴うため,広範な浸潤影やすりガラス陰影が粟粒影を覆い隠してしまうこともあり11),胸部CT検査が鑑別に有用である.鑑別診断:悪性腫瘍や真菌感染症の血行散布性病変,心不全.7 気管・気管支結核区域性気管支よりも中枢側の気管支病変で,肺門や縦隔のリンパ節の乾酪性病変が気管支壁に波及して,穿破・発症する.肺内病変が乏しいことが多く,ほとんどが気管支病変からの散布像であり,胸部X線上では異常所見が認められないものも多い.進行すると気管や主気管支の狭窄が胸部X線でも確認できることがある.Ⅲ 非典型例前述のように結核に特徴的な所見を認めることが肺結核を疑う契機として重要であるが,患者背景によって非典型的な陰影を呈し,診断が遅れる場合もある.以下に例を提示する.1 下肺野結核(図8)結核は高齢者に多い疾患であり,特に日常生活動作(ADL)の低下した患者の場合,誤嚥性肺炎と診断される場合もある.2 非結核性抗酸菌(NTM)症様(図9)同じ抗酸菌属であるNTM症も結核と同様に粒状ab図8 下肺野結核a:正面像.右中下肺野を中心に陰影を認める.b:CT像.右下葉に気腫肺を背景に浸潤影を認める.