カレントテラピー 36-8 サンプル

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76 Current Therapy 2018 Vol.36 No.8804BMI<16,②過去3~6カ月で15%以上体重減少,③10日間以上の絶食,④治療前の低K,低P,低Mg血症のいずれかを認める症例ではrefeeding症候群をきたしやすいとされている13).本症例は①②④の3項目を認めていた.Refeeding症候群対策として,まず栄養療法開始前に水分・電解質をできるだけ補正のうえ,初期エネルギー量は少なめに設定し徐々に増量することが推奨されており,開始1~2週間は不整脈・心不全や電解質異常にも注意が必要であるといわれている.本症例は腸結核による経口摂取困難を認め,NST介入下での栄養管理が開始された.静脈栄養での管理を選択し,末梢輸液から開始し慎重にエネルギー量を増加,中心静脈栄養に切り替えた.一時的な体重減少を認めたものの治療継続,投与エネルギー量の増加とともに体重増加に転じた.抗結核薬は第30病日より内服再開され,喀痰抗酸菌塗沫陰性化後に大腸内視鏡を施行され,狭窄は認められるものの経口摂取は可能との判断で第55病日より経管栄養剤が開始された.その後は腹痛や下血を認めず順調に経過しNST介入は終了し,第113病日退院となった.治療終了時には発症前の約50kgまで体重は回復した.以上のように本例では肺結核,腸結核による低栄養状態のためrefeeding症候群の高リスク群であった患者に対し,NSTチーム介入が行われた結果,腸結核の病態,refeeding症候群の病態に応じた適切な栄養療法を行うことができ,結核治療も順調に進めることができた.Ⅳ おわりに長い結核治療の歴史のなかで,生活環境の改善・栄養療法は重要な役割を担ってきた.薬物療法が完成した今日でも結核患者にとって栄養療法は,重要な治療のひとつである.そこには結核だけではなく複合的な要素が絡み合う.抗結核薬の確実な服用と,至適栄養量の確保による栄養状態の改善は結核患者の治療の両輪であり,NSTの存在が治療効果を高めると考える.参考文献1)結核予防会:結核の統計 2017.20172)外務省,厚生労働省,独立行政法人国際協力機構,公益財団法人結核予防会,ストップ結核パートナーシップ日本:改定版ストップ結核ジャパンアクションプラン・平成26年7月1日.00.511.522.533.544.50 1 2 3 4 5 6 7 8 9CRPAlb末梢輸液中心静脈栄養NST介入大腸内視鏡介入終了day113退院体重38.1kg 33.5kg 36.9kg201X/12/28 1W 2W 3W 4W 5W 6W 7W 8W 9W 10W11W12W13W結核治療栄養療法INH+SM点滴INH+SM+RFP→INH+RFP+EB内服食事再開入院200kcalday8400kcalday20600kcalday301,100kcalday501,500kcal経口摂取下血図3臨床経過