カレントテラピー 36-8 サンプル

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80 Current Therapy 2018 Vol.36 No.8808合わせにDLMを併用した群と,併用しなかった群の治療開始2カ月後の菌陰性化率を比較したところ,有意差をもってDLM使用群が高かった.また液体培地培養陰性化率を,DLMを使用しなかった群,DLM100mgを1日2回使用した群,200mgを1日2回使用した群で比較したところ,それぞれ29.6%,45.4%,41.4%であり,100mg 1日使用群と200mg 1日使用群の間に差は認められなかった(図2).2012年,欧州において多剤耐性結核の治療薬として申請され,2014年4月に承認された.日本でも2013年3月に申請され,2014年7月に多剤耐性肺結核の治療薬として承認された.INHと同等程度の抗菌作用がみられるとされている.適応症は多剤耐性肺結核に限定されている.・臨床試験における副作用副作用については,臨床試験1)では,表2に示すように胃腸障害,頭痛・不眠等,神経系の症状が20%以上に認められたが,placebo群との有意差は認められなかった.副作用のうちplacebo群と有意差が認められたのは心電図上のQT延長であり,placebo群3.8%に対し,100mg 2回群9.9%,200mg 2回群で13.1%であった.いずれも不整脈などの臨床兆候は認められなかった.・当院でのDLM使用経験当院で多剤耐性肺結核(multi-drug resistant pulmonarytuberculosis:MDR -TB)12例,超多剤耐性肺結核(xtensively-resistant pulmonary tuberculosis:XDR-TB)3例に対してDLMを使用した9).DLMの使用期間は6カ月未満で終了した症例が3例存在した.1例が難治性気胸合併による死亡中断,1例が白血球減少による骨髄抑制の疑いにて中断,1例は退院に伴って終了した症例であった.DLMを6カ月で予定終了した症例が2例みられた.その他の10例は6カ月を超えて治療継続した.副作用は1例が0.484ms,1例が0.464msのQTc延長がみられた.どちらも不整脈の出現も含めてあきらかな自覚症状はみられず,中止には至らなかった.今回の15症例のなかで内科的治療のみを行った症例は9例,外科的切除術を併用した症例が6例存在した.外科的切除術のなかで葉切除術を行ったのが5例(内科的治療開始3カ月後が2例,4カ月後が3例),片肺全切除術を行ったのが1例(内科的治療開始4カ月後)であった.今回DLMを使用した結果は中断例も含めて,DLM開始時喀痰培養陽性であったのが15例中6例みられたが,全症例に使用期間内に培養陰性化が得られた.培養陰性となるまでの期間は1.17カ月(0.5~2カ月)であった.15例中治療中断に至ったのは2例で,1例は難治性気胸合併による死亡中断,もう1例は前述のリネゾリド(LZD)と併用による白血球減少による骨髄抑制の疑いにて中断したが,どちらも中断時培養陰性化が得られていた.・DLM使用の原則10)多剤耐性肺結核の治療薬として,日本結核病学会副作用100mg 200mg Placebo1日2回1日2回n=161 n=160 n=160血液貧血11.2% 6.2% 8.8%網状赤血球増多11.8 12.5 10.6胃腸障害*嘔気36.0 40.6 33.1嘔吐29.8 36.2 27.5上腹部痛25.5 22.5 23.8心血管系**動悸8.1 12.5 6.2QT延長9.9 13.1 3.8気道出血11.8 9.4 10.6神経系頭痛* 22.4 25.6 18.8しびれ10.6 12.5 7.5振戦11.8 10.0 8.1不眠* 26.1 31.9 26.2その他耳鳴り9.9 13.8 7.5脱力12.4 16.9 12.5倦怠感7.5 10.0 7.5食欲不振14.3 21.2 15.0多汗症5.6 10.6 5.0高尿酸血症19.3 23.8 21.9低カリウム血症12.4 19.4 15.0表2 デラマニド使用群とプラセボ群の主な副作用*:胃腸障害,頭痛・不眠等神経症の症状が20%以上に認められたが,placebo群との有意差は認められなかった.**:副作用のうちplacebo群と有意差が認められたのは心電図上のQT延長のみ〔参考文献8)より引用〕