カレントテラピー 36-8 サンプル

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82 Current Therapy 2018 Vol.36 No.8810とし,有効であったとしている.ただし82%にあたる31例に副作用が出現し,そのうち3例が副作用のために中断しており,治療継続の難しさを報告している.4 ベダキリンベダキリンは,結核治療を目的として開発された結核菌体のATP合成酵素の活性阻害を標的とするジアリルキノリン系薬で,Johnson & Johnson社により開発された.MDR -TBに対して,推奨基本レジメンにベダキリンを追加し,24週間治療を行った結果,プラセボ群と比較して120週時点の評価で,培養陰性化がより速やかに,高率に認められたことが報告された15).投薬用量依存的ではなく殺菌活性発現濃度の保持時間(time above MIC:TAM)依存性を示す特異な性質を有する化合物で,結核菌のみならずMycobacterium avium -intracellulare complex(MAC)を含む幅広い非結核性抗酸菌種に対してin vitro で強力な殺菌作用を示す.そのため,将来の非結核性抗酸菌症に対しての新薬としても期待されている.ベダキリンの多剤耐性肺結核への使用方法については,世界保健機関(WHO)の2016年の薬剤耐性ガイドラインでは,DLMとともにgroup D2薬に分類されている2).・ベダキリン併用による多剤耐性結核の治療の原則について16)DLMと同様,当面は以下の適否によって,使用の適否を判断する.1) 既存の抗結核薬に薬剤耐性および副作用の点から4~5剤目として使用される薬剤がない場合は,多剤耐性肺結核薬であるベダキリンもしくはDLMは使用されるべきである.2) 既存薬で5剤が使用可能である場合,多剤耐性結核薬であるベダキリンもしくはDLMを使用すべきかどうかについてはまだ結論がでておらず,使用を否定するものではない.3) 既存薬で使用できるものが1~2剤の場合,2~3剤目として多剤耐性結核薬であるベダキリンもしくはDLMを使用することについては,使用を否定するものではないが,耐性化の危険を考慮し慎重な扱いを要する.Ⅲ ベダキリンとDLMを使用する場合,いずれを選択すべきか?現在のところ決まった方針はない.ただし,ベダキリンでは肝障害の頻度が高いことから,肝障害を有する症例においてはDLMを優先する.また,ベダキリンの代謝物の半減期が長いことから,ベダキリンに引き続いてDLMを使用した場合,同時使用でなくてもQT延長の危険が高まる恐れがある.一方,DLMに引き続いてベダキリンを使用する場合については,治験の経験の積み重ねはないがDLMの半減期および代謝物の半減期を考慮し,特に10日ほどの早期の間については,QT延長に注意する必要がある.Ⅳ 新規抗結核薬の併用ベダキリンはDLMと同様QT延長の有害事象が報告されている.2種類の新薬の併用効果に期待がもたれたが,動物モデルを用いた実験においては,ベダキリンとニトロイミダゾールは相互に拮抗作用を示して併用効果は認められなかった17).一方で,臨床においても問題なく使用できたとする報告もある18).DLMとベダキリンのヒトにおける併用効果を確認するための臨床試験が進行中である.Ⅴ 新規抗結核薬の位置づけWHOが2016年にup dateした薬剤耐性ガイドライン2)では,表4のように抗結核薬をグループ化している.治療開始にあたっては少なくとも5剤,すなわちピラジナミドを含めてgroup Aのフルオロキノロン剤より1剤,group Bのアミノグリコシド剤より1剤,groupCの二次抗結核薬より1剤からそれぞれ選択するとしている.DLM,ベダキリンはともにgroup D2に属しており,現時点では推奨された治療薬剤の組み合わせには含まれておらず,十分に効果の期待できる薬剤とはみなされていない.今後わが国が中心となって症例を蓄積して治療効果を実証していくとともに,