カレントテラピー 36-8 サンプル

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Current Therapy 2018 Vol.36 No.8 9737ある(図1)1).これは主として,第二次世界大戦前後までの著しい結核高蔓延期に,罹患者から排出された結核菌による感染を受けたものの,これを押さえ込み,結核菌が体内で休眠の状態のまま年月が経過し,高齢,合併症などに伴う免疫状態の低下を契機に,十分には解明されていない内因性再燃のメカニズムにより,菌の活動が再び高まり,発病したものと考えられている(図2)3).一方,若年者の結核の多くは,より最近の伝播を意味しているものと考えられ,その感染経路の特定は公衆衛生上,きわめて重要である.わが国における結核罹患率には地域差があり,北海道,東北,甲信越を中心に10の県が罹患率10を下回っている.一方で高罹患率上位は,大阪,東京,愛知など大都市を含む都府県が占める(図3)1).ホームレス,日雇い労務者,社会経済的弱者が多くみられる地域に結核患者が偏在する傾向がみられる.Ⅲ 外国出生者結核の顕在化と薬剤耐性結核外国出生者結核の問題は,他稿で詳述されるが,現在,特にわが国の20歳代の結核発病の60%近く(57.7%)は外国出生者によるものである(図4)1).結核発病者全体に占める外国出生者の割合(7.6%)10~14歳0.1%15~19歳1.1%5~9歳0.1%0~4歳0.1%20~29歳7.0%30~39歳5.7%40~49歳7.0%50~59歳7.3%60~69歳12.6%70~79歳19.3%80~89歳29.2%90歳以上10.5%図1 新登録結核患者割合(2016)〔参考文献1)より引用〕初感染,再感染菌の細胞内侵入自然治癒による非活動性結核菌自体の持つ活動再開のしくみ高伝播性(空洞あり,菌量多)?低伝播性(空洞なし,菌量少)肺組織障害,伝播性あり平衡状態(低酸素など)免疫機能の活性化と制御の平衡状態(潜在感染)HIV感染(CD4+リンパ球の減少)TNF阻害剤,ステロイドなどの薬剤T細胞の疲弊,活性化と制御のアンバランスなど,免疫のしくみがくずれる空洞のできやすい免疫状態内因性再燃自然免疫の発現獲得免疫の発現免疫と菌のバランス図2肺結核発病の流れと免疫〔参考文献3)より引用改変〕