カレントテラピー 36-9 サンプル

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54 Current Therapy 2018 Vol.36 No.9886Ⅰ 乳癌における術後補助化学療法の意義1970年代に,イタリアでリンパ節転移陽性乳癌患者に対し実施された無作為化比較試験(RCT)の結果,乳癌術後の化学療法で予後を改善させることが証明され1),乳癌の補助化学療法の歴史は始まった.その後,化学療法の適応はリンパ節転移陽性から陰性へと徐々に拡大された.メタアナリシスにおいても,早期乳癌に対する化学療法は予後改善に有用であることが報告されており2),特に米国では,2001年以降腫瘍径が1cmを超える女性に対して一律に化学療法を行うことは,腋窩リンパ節(LN)転移の有無に関係なく標準的治療と考えられるようになった3).また,2001年にSorlieらは,網羅的遺伝子発現解析により乳癌は5つのサブタイプに分類され予後が違うことを報告した4).この分類は,日常臨床でも簡便に使用可能なホルモン受容体(hormone receptor:HR),HER2の免疫染色で,同様の結果が得られることが示され5),予後の違いだけでなくHR陽性例にはホルモン療法,HER2陽性例には抗HER2療法と治療法に直結することから急速に臨床の現場に波及し,治療法選択のためにも各種ガイドラインにも取り入れられた.このなかでHR陽性HER2陰性乳癌は,最も予後良好であり6),術後ホルモン療法にて予後がさらに改善する.そこに化学療法を上乗せしても予後改善効果がわずかで7),また化学療法追加の有用性は50歳を超えるとさらに減少することなども報告されて* 昭和大学乳腺外科准教授バイオマーカーを用いたがんの診断と治療Oncotype DXR 早期乳癌に対する再発リスクの推定と化学療法の適応明石定子*乳癌のなかで,ホルモン受容体陽性HER2陰性タイプは過半数を占め,ホルモン剤の感受性が高い.そのなかで化学療法を追加するメリットのある症例を選別する遺伝子パネル検査がOncotypeDXRである.腫瘍検体から21遺伝子を遺伝子逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR法)にて増幅を調べ,再発スコア(recurrence score:RS)を算出する.RSが高くなるほど10年後の遠隔再発率が高くなることが種々の臨床試験で証明されている.リンパ節転移陰性例において,RS18点以下は低リスクに分類され,ホルモン剤のみにても再発リスクが低い.またRS31点以上は高リスクに分類され,ホルモン剤に化学療法の上乗せで再発率が低下する.19~30点までは中間リスクとして予後は両者の中間であり,このほど米国で大規模に前向きに実施されたTailorX試験から,50歳以上ではRS25点以下はホルモン療法のみ,50歳未満では20点以上25点以下の場合,化学療法を考慮すべきと報告された.日本では現在保険未承認であるが,化学療法不要群選別のため,承認が望まれる.