カレントテラピー 36-9 サンプル

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Current Therapy 2018 Vol.36 No.9 7839バイオマーカーを用いたがんの診断と治療企画国立がん研究センター企画戦略局長/中央病院副院長藤原康弘2017年5月23日に米国食品医薬品局(FDA)は免疫チェックポイント阻害薬ペンブロリズマブについて,従来の臓器名に基づく診断に対してではなく,臓器横断的,遺伝子異常診断名(microsatellite instability-high/mismatch repair deficient:MSI-H/dMMR,いわゆるバイオマーカー)に対する製造販売承認を出した.さらに,米国Center for Medicare and MedicaidServices(CMR)は2018年3月16日,各種網羅的遺伝子診断パネルに対して,米国の公的保険償還対象とすることを告示した.さらに,今年6月に開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO)のプレナリ-セッションの目玉のひとつは,Oncotype -DxRを用いて早期乳癌の術後化学療法の要否を決定するTAILORx試験のポジティブな結果発表であった.一方,わが国をみると,網羅的遺伝子パネル,NCCオンコパネルが先駆け審査指定制度の認定を受けたのが2017年2月28日.第3期がん対策推進基本計画(2018年3月9日閣議決定)では,がんゲノム医療が最重要推進課題のひとつとされ,がんゲノム医療中核拠点病院11カ所,同・連携病院が100カ所,2018年春には認定されるなど,世界はまさに遺伝子異常というバイオマーカーに基づく医療全盛の時代になりつつある.前半では,各種遺伝子異常等のコンパニオン診断薬の意義を,当該領域をリードする研究者・臨床家の方たちに解説して頂き,さらに前述したOncotype DxRの現況の解説のあとに,後半として,分子標的薬の現状とトピックスを各界のリーダーに解説頂いた.そして最後に,今後のわが国のゲノム医療を占うべく,近畿大学の西尾和人教授と国立がん研究センター研究所の河野隆志分野長という,この領域のトップリーダーに,腫瘍検体,リキッドバイオプシーの次世代シークエンサーによる解析と応用の現状と将来を語って頂いた.2017年10月20日から医薬品においても導入された「条件付早期承認制度」と第3期PMDA科学委員会の希少がん対策専門部会でも議論がなされているランダム化比較試験の結果がないなかで,疾患レジストリーを対照群としてシングル・アームの臨床試験結果に基づき薬事承認を出す時代がすぐそばにある今,今回の「バイオマーカーを用いたがんの診断と治療」の特集はまさに時を得たものであり,読者の皆さんに期待して読んで頂きたい.エディトリアル