カレントテラピー 37-1 サンプル

カレントテラピー 37-1 サンプル page 10/32

電子ブックを開く

このページは カレントテラピー 37-1 サンプル の電子ブックに掲載されている10ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
カレントテラピー 37-1 サンプル

20 Current Therapy 2019 Vol.37 No.120terns:DAMPs)をリガンドとして活性化し,非感染性の炎症(sterile inflammation)を惹起する.また,肝臓にはKupffer細胞に加えてナチュラル・キラー(natural killer:NK)細胞やNKT細胞など自然免疫系に関与する免疫担当細胞が多く局在しており,これらの肝内免疫ネットワークの変化がNASHの病態形成に重要な役割を果たしている可能性が示唆されている17).特に,CD1d拘束性NKT細胞は,invariant T細胞受容体を介して糖脂質を認識するため,腸内細菌由来の分子がNKT細胞の活性化に伴うサイトカイン産生を介してTh1/Th2バランスの調節など,肝内免疫環境の変化をもたらし得る.このような肝内自然免疫の変化が肝障害進行に寄与するのみならず代謝病態の制御系としても注目される.一方,腸内細菌叢は食事由来の成分に加えて胃液・腸液や胆汁,膵液などの分泌成分組成,消化管運動機能や粘膜免疫などのさまざまな因子によって制御されている.なかでも,代表的な胆汁成分である胆汁酸は,腸肝循環の過程で腸内細菌叢に多大な影響を及ぼすとともに,腸管や肝臓で核内受容体であるfarnesoid X receptor(FXR)や細胞膜上の受容体であるG-protein-coupled bile acid receptor,Gpbar1(TGR5)などを介して代謝調節にも重要な役割を果たしていることが明らかにされ,創薬ターゲットとしても重要視されている.Ⅷ おわりにメタボリックシンドロームの病態において,代謝の要である肝臓の果たす役割はきわめて大きいにもかかわらず,NAFLD/NASHの病態解明や治療アプローチはいまだ十分とは言い難い.今後,NAFLD/NASHの肝臓病としての診療体系を確立するのみならず,肝臓の代謝機能制御により全身性の動脈硬化性疾患や発癌のリスクを低減できるようにするべく,基礎・臨床の両面からのエビデンスを確立することが望まれる.参考文献1)Tilg H, Moschen AR:Evolution of inflammation in nonalcoholicfatty liver disease:the multiple parallel hits hypothesis.Hepatology 52:1836-1846, 20102)Romeo S, Kozlitina J, Xing C, et al:Genetic variation inPNPLA3 confers susceptibility to nonalcoholic fatty liver disease.Nat Genet 40:1461-1465, 20083)Kawaguchi T, Sumida Y, Umemura A, et al:Genetic polymorphismsof the human PNPLA3 gene are strongly associatedwith severity of non-alcoholic fatty liver disease in Japanese.PLoS One 7:e38322, 2012PAMPs(LPS, etc) GutMicrobiotaToxicMediatorsTNF-α,free radicals, etc.Kupffer cellsHepatocytes(-)DietM1>M2DAMPsNKTcellsProbiotics図4NAFLD/NASHの病態における肝自然免疫系賦活