カレントテラピー 37-1 サンプル

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38 Current Therapy 2019 Vol.37 No.1381 脂肪肝日・欧・アジアのガイドラインでは腹部超音波検査(ultrasound:US)は脂肪肝のスクリーニング検査として有用であると述べている.本邦のガイドラインに記載されている診断フローチャートは「脂肪肝・肝障害」から始まっているが(図),欧州のガイドラインの診断アルゴリズムの最初の項目は「Metabolic risk factorの存在」である.これは,わが国では健診や一般診療で腹部USが広く用いられていることから最初に脂肪肝と診断されるケースが多いためと推察される.日・欧・アジアに共通して腹部USは30%以上の肝脂肪化を有する場合は感度・特異度ともに高いが,30%以下の場合は感度が低下し正確性に欠ける.また,術者の主観に依存する場合が多いため,定量までは困難であると述べられている.アジアのガイドラインでは腹部USで脂肪肝の診断ができなかった場合はフィブロスキャンによるcontrolled attenuation parameter(CAP)も考慮するとしているが,欧州では有用であるとする十分なデータの蓄積がないとしている.また,すべてのガイドラインにおいてMRスペクトロスコピーやMRI -PDFFはともに肝脂肪化の診断能や定量に優れているが,コスト面や時間を要する点では推奨されないとしている.2 NASHNASHとNAFLを鑑別できる確立された非侵襲的検査法は存在しない.アポトーシスのマーカーであるサイトケラチン18断片(CK18 fragment)はその有用性が期待されるが,現在のところ一般臨床レベルでの測定には到達していないというのがすべてのガイドラインで一致した見解である.3 肝線維化NASHの予後規定因子が肝線維化の重症度であるため,非侵襲的肝線維化検査法について,いずれのガイドラインにも詳しく記述されている.各種の肝線維化マーカーやFIB -4 index,NAFLD fibrosisscore(NFS),AST to platelet ratio index(APRI),enhanced liver fibrosis(ELF)などのスコアリングシステム,トランジエント・エラストグラフィー(フィブロスキャン),MRエラストグラフィ(MRE)などの有用性や汎用性について述べられている.特に,米国のガイダンスでは高度線維化症例の拾い上脂肪肝・肝障害飲酒歴ありなしありHBs抗原,HCV抗体,各種自己抗体などウイルス性肝疾患,自己免疫性肝疾患ほかNAFLD アルコール性肝障害NASH NAFL肝生検注:HCV抗体陽性例は,HCV-RNAを測定してC型慢性肝炎・肝硬変を鑑別する.注:NAFLD/NASHとNASHと自己免疫性肝炎の鑑別は,困難なことがある.なし図NAFLD/NASH診断フローチャート〔「日本消化器病学会(編):NAFLD/NASH診療ガイドライン2014.p.xvii,南江堂,東京,2014」より許諾を得て転載〕