カレントテラピー 37-1 サンプル

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Current Therapy 2019 Vol.37 No.1 39NAFLD/NASHの診断39げを重要視しており,その選定にNFSやFIB-4 index,フィブロスキャンやMREによる肝硬度測定が有用であると推奨している.肝生検はNASH診断のgold standardであるが,侵襲的でありコストの面からも繰り返し行うことが困難で,生検部位によるバラツキが多く,肝全体を評価するために十分な評価法といえない面がある.非侵襲的検査法は肝生検の適応症例の絞り込みや経過観察に有用であるが,現段階では確立された診断法は存在しない.以上がすべてのガイドラインに共通した見解である.今後,肝生検に代わる非侵襲的診断法の確立が待たれる.Ⅳ 治療すべてのガイドラインに共通してNAFLDの死因で心血管イベントが最も多いことから,NAFLDの治療は,肝疾患のみならずメタボリックシンドロームおよびその関連疾患の治療を行うこととしている.いずれのガイドラインにも,治療の原則は食事療法と運動療法を組み合わせた生活習慣の改善による減量であると述べている.欧米のガイドラインは組織学的な改善のためには7~10%の減量が必要であるとしている.食事療法は,本邦のガイドラインはエネルギー摂取量の適正化と脂質の制限を提案し,米国のガイダンスは1日に500~1,000kcalの減量を推奨している.日・米のガイドラインでは運動療法単独での組織学的改善は明らかになっていないが,肝脂肪化は改善するとしている.欧州のガイドラインは有酸素運動とレジスタンス運動はともに肝脂肪化の改善に有用であるとし,個々の症例に応じて長期に継続可能な運動療法を選択するとしている.欧州・アジアのガイドラインでは高度線維化症例や線維化進展のリスクが高い症例は薬物療法の適応であると述べている.米国のガイダンスでは,NAFLは肝疾患の予後が良好であることから,肝疾患の改善を目的とした薬物療法は生検で診断されたNASHおよび肝線維化を伴う症例に限定するべきとしている.現在のところ,NASHに適応のある薬剤は存在表2 NAFLD/NASHの薬物療法に関するステートメントの比較薬剤JSGE EASL/EASD/EASO AASLD APASLビタミンE 推奨糖尿病や肝硬変を有しないNASH症例で使用可能糖尿病や肝硬変を有しない生検診断NASH症例糖尿病や肝硬変を有しないNASH症例で使用可能UDCA 推奨しない組織学的な改善は認めない推奨しない記載なしチアゾリン誘導体(ピオグリタゾン)インスリン抵抗性を合併するNASH症例2型糖尿病を合併したNASHに使用可能生検診断NASH症例2型糖尿病を合併したNASHに短期間での使用可能ビグアナイド(メトホルミン)投与しないことを提案十分な科学的根拠がないNASHの治療としては推奨しないNASH改善効果は示されていないが2型糖尿病の第一選択薬とすべきGLP-1受容体作動薬記載なし記載なし(本文中に論文紹介のみ)NASHの治療薬としては早計NASHを合併した糖尿病症例に考慮,非糖尿病症例には推奨しないスタチン高コレステロール血症を有する症例LDLコレステロールを下げ,心血管リスクを下げる脂質異常症を有する症例(非代償性肝硬変症例への使用は避ける)軽度の肝機能障害もしくは代償性肝硬変症例で適応があれば使用可能ω3脂肪酸記載なし血漿と肝脂肪が減少するがNASHの治療薬としては推奨しないNASHの治療としては使用すべきでないが高TG血症症例に考慮肝脂肪化を改善するが組織学的な改善はないARB高血圧を有するNASH症例に投与を提案記載なし記載なし記載なしJSGE:日本消化器病学会,EASL/EASD/EASO:欧州肝臓学会/欧州糖尿病学会/欧州肥満学会,AASLD:米国肝臓病学会,APASL:アジア太平洋肝臓学会〔参考文献1),4),5),7)より引用改変〕