カレントテラピー 37-1 サンプル

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Current Therapy 2019 Vol.37 No.1 17NAFLD/NASHの病態17などの転写因子群が知られている.AMP-activatedprotein kinase(AMPK)はエネルギー低下に伴う細胞内AMP上昇で活性化し,SREBP-1c,ChREBPおよびACCを抑制することで脂肪酸のde novo 合成を低下するとともに脂肪酸β酸化を促進する.すなわち,AMPKの抑制は脂肪肝形成に寄与し得る.糖尿病薬のビグアナイド系薬物(メトホルミン)やチアゾリジン系誘導体(ピオグリタゾン)およびアディポネクチンはAMPKを活性化することが知られており,これらの薬物および生体分子は脂肪肝改善効果を有する.一方,肝細胞内の中性脂肪はApoB-100,リン脂質,コレステロールとともにMTPの作用でVLDLになり,血中に放出される.MTPはインスリンにより抑制されるため,高インスリン血症ではVLDLとしての中性脂肪放出が抑制される.NASH症例ではVLDL産生の律速段階であるApoB -100の合成が低下している.Ⅳ 毒性回避機構としての肝脂肪滴形成NAFLD/NASHの病態形成に重要な因子として,FFAによる脂肪毒性が挙げられる8).脂肪組織におけるインスリン抵抗性は,本来インスリンが有する脂肪分解抑制作用を減弱させるため,血中FFA濃ACCFASアセチル-CoAマロニル-CoAパルミチン酸ELOVL6 CPTⅡCYP電子伝達系ステアリン酸SCD1オレイン酸AGPAT(LPAAT)DGATリゾフォスファチジン酸(LPA)ジアシルグリセロール(DAG)中性脂肪(TG)グリセロール3-リン酸(G3P)クエン酸ATP citratelyaseAcyl-CoAsynthetase長鎖脂肪酸(LCFA)β-酸化ω-酸化脂肪酸合成不飽和化伸長反応エステル化脂肪滴形成TCAサイクルmitochondriaGPATフォスファチジン酸peroxisomeVLDL合成解糖系中鎖脂肪酸(MCFA)MTPLipid dropletsmicrosomeADP ATPアシル-CoAアシル-CoAカルニチンアシル-CoAピルビン酸クエン酸ROSROSACOX β-酸化アセチル-CoAROSケトン体グルコースアセチル-CoAHMG-CoAsynthaseL-CPTⅠ図2 肝細胞の脂肪酸代謝