ブックタイトルカレントテラピー 37-2 サンプル

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概要

カレントテラピー 37-2 サンプル

60 Current Therapy 2019 Vol.37 No.2172切除不能または再発病変を有する原発不明がんもしくは,標準治療がない,終了後,または終了見込みの固形がん患者である.登録期間は2018年4月から12カ月で最大350例の登録を予定している.主要評価目的は前述の3学会合同ガイダンス(第1.0版)において定義されたエビデンスレベル3A以上をactionable遺伝子異常としたとき,actionable遺伝子異常を有する症例の割合を求めることで,NCCオンコパネル検査システムの臨床的有用性を検証することである.検査は検査会社(株式会社理研ジェネシス)に外注して実施する.解析対象の腫瘍FFPE検体と正常コントロールの末梢血検体を送付し,セキュリティ基準を満たしたクラウドストレージを介して結果を受容している.最大50施設が参加する多施設共同研究であり,中核拠点病院および連携病院のゲノム医療提供体制を用いた国内初の先進医療である.当院では,得られた検査結果を週1回開催される前述のエキスパートパネルで検討し,エキスパートパネルレポートを担当医に返却している.また,連携病院の症例については,検査会社から一旦は各連携病院に返却される解析結果をクラウドストレージを介して,また,臨床情報を個人情報の取り扱いに配慮した状態で連携病院から受領し,自施設の症例と同様にエキスパートパネルでの結果検討およびエキスパートパネルレポートの作成を行っている.エキスパートパネルには連携病院の医師も参加できるように,Web会議の体制整備を行っている.Ⅳ ゲノム医療実装化に向けた課題1 適切な検体の選択前述のTOP -GEARプロジェクトの第2期では,DNA量の不足,あるいはDNA品質不良が原因でNCCオンコパネル検査が実施できなかった症例がそれぞれ28例(4.5%)存在した.また,程度はさまざまだが他検体のコンタミネーションが疑われる症例を5%認めた.DNA収量については,これまでの経験から,一概にはいえないがNCCオンコパネル検査に必要なDNA量200ngを得るためには,4mm2×10μm×5枚が目安と考えられる.一方,DNA品質については,ブロックの経過年数,ホルマリンの固定状況などに影響され,なるべく新しい検体が推奨される.また,コンタミネーションを防ぐためには,症例ごとのマイクロトームの刃の交換など配慮が必要である.他院からの紹介の症例などでは,対象となる検体が他院からの取り寄せ検体であることが多く,当院でも約半分を占めていた.こういったプレアナリシス段階での検体取扱いの標準化については日本病理学会から「ゲノム診療用病理組織検体取扱い規程」が発行されており,全国規模での意識統一が重要である.2 人材の育成ゲノム医療の実現に向けては,多遺伝子パネル検査が正しく解釈できる診断医および遺伝子異常に基2017年4月2018年4月2019年4月2020年4月2016年3月5月2015年11月2013年7月2014年10月TOP-GEAR プロジェクト(Clinical sequence)2012年6月TOP-GEAR準備第一期第二期院内品質保証院内NGS検査室NGS検査室稼働開設TOP-GEARTOP-GEARSub-project先進医療B登録データ解析Ver.1(継続運用期間)検査実施第三期(小児対象)外部委託国立がん研究センター研究所NCCオンコパネルVer.2 Ver.3 Ver.4 図4TOP-GEARプロジェクトの変遷〔国立がん研究センターHP(https://www.ncc.go.jp/jp/ncch/genome/top -gear -project/index.html)より引用一部改編〕