ブックタイトルカレントテラピー 37-2 サンプル

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カレントテラピー 37-2 サンプル

Current Therapy 2019 Vol.37 No.2 61現在進行中の先進医療173づいた適切な治療選択ができる診療医の育成が重要である.米国ではmolecular pathologyという分野が確立しており,次世代シークエンサーをはじめとした各種遺伝子検査の品質管理から診断までを行う.また,medical oncologistが分子生物学的知識をもち,遺伝子異常に合致する適切な治療薬の選択を行っている.本邦では研究班や学会等で,e -learningの作成およびセミナーやチュートリアル形式の講習会を開催し,この分野の人材育成に努めている.3 検査費用多遺伝子パネル検査は,次世代シークエンサーの低コスト化が進んでいても,従来の検査法に比べてかなり高額である.この先進医療でかかるNCCオンコパネル検査費用も約67万円と高額だが,当院が研究費から約20万円を補助して,実際の患者負担を約47万円に抑えている.多遺伝子パネル検査の費用対効果については,この分野が進んでいる米国でもまだエビデンスが示されておらず,今後の課題である.また,本当に多遺伝子パネル検査が有益な患者を見極めることも重要である.Ⅴ おわりに本稿ではゲノム医療中核拠点病院を中心としたゲノム医療提供体制についてと,現在実施中のNCCオンコパネル検査を用いた先進医療について述べた.ゲノム医療の実装化が目前に迫るなか,この先進医療を通して,がんゲノム中核拠点病院と連携病院とのエキスパートパネルを通した連携体制の構築と,保険収載後の運用を視野に入れた課題解決が重要である.参考文献1)Chalmers ZR, Connelly CF, Fabrizio D, et al:Analysis of100,000 human cancer genomes reveals the landscape oftumor mutational burden. Genome Med 9:34, 20172)日本臨床腫瘍学会,日本癌治療学会,日本癌学会合同「次世代シークエンサー等を用いた遺伝子パネル検査に基づくがん診療ガイダンス(第1.0版)」.2017年