ブックタイトルカレントテラピー 37-2 サンプル

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概要

カレントテラピー 37-2 サンプル

64 Current Therapy 2019 Vol.37 No.2176より希望する治療を実施するものであるが,臨床研究として実施してデータを収集することで,将来的な薬事承認に結びつけるという制度だからである.臨床研究は,研究者に診療上の疑問(クリニカル・クエスチョン)があり,その答えを見つけるために評価項目やデザインを考えるのが一般的であるが,チオテパはかつて日本でも一般診療で使用されていた薬剤であることに加え,患者の申出により臨床研究を計画するという性質上,何を主要評価項目とし,どのようなデザインとするのがよいかから議論することとなり,臨床研究計画書の作成は難航した.プロジェクトマネージャー(PM),小児科医,データ管理責任者,データマネージャー(DM),治験コーディネーター(clinical research coordinator:CRC)という関係者が集まる全体会議を全7回,それとは別にPM,小児科医,データ管理責任者で医学的な内容を検討する医学的検討会議を計4回実施し,ようやく臨床研究計画書が完成した(図2).対象は19歳以下の再発難治性の髄芽腫,原始神経外胚葉腫瘍(primitive neuroectodermal tumor:PNET),非定型奇形腫様ラブドイド腫瘍(atypical teratoid rhabdoidtumor:ATRT),治療レジメンはカルボプラチンAUC 7mg/mL・min/day day-8~-6,チオテパ300mg/m2/day day -5~-3,エトポシド250mg/m2/day day-3~-5に投与し,day 0に移植(末梢血幹細胞輸注)を行うこととし5),自家末梢血幹細胞移植100日以内の全死亡率を主要評価項目としてチオテパを含む大量化学療法+自家末梢血幹細胞移植の安全性と効果を検討することとした(図3).臨床研究計画書作成に約5カ月間を要した.Ⅲ 薬剤入手とロードマップTEPADINARの入手については,国内の代理店を通して入手する方法が少なくとも1つはあることが判明したが,100mgあたり21万円に別途送料や輸入消費税が必要であり,自家移植の前治療として用いる場合,1回あたり200万円ほどの薬剤費となる計算であった.その後,Adienne社は,欧米に続いて日本での販売も視野に入れて,日本で治験を行うために医薬品医療機器総合機構(PMDA)への相談も行っていることが判明した.小児科の担当医が米国での学会の際に社長と面談したところ,同社が日○3/21 評価会議日程と調整し意見書を添えて申請・3/14 正式申出・3/9 治療同意取得・2/7 意見書作成申込・12/19 患者申出療養外来にて患者・家族の意向確認患者申出研究計画書作成院内審査○ 12/9 厚生労働省保険局医療課事前相談○ 8/25 患者申出療養として準備することを正式決定○ 7/7 小児科医師から相談・3/6 倫理委員会承認院内手続き終了・2/13 受入委員会承認・2/2 倫理委員会申請・1/11 全⑥, 1/28 全⑦・12/12 医④, 12/21 全④, 12/28 全⑤・11/2 医③, 11/9 全②, 11/16 全③10/26 医②・10/18 医学的検討会議(PM, 小児科医, データ管理責任者)①・9/1 全体会議(PM, 小児科医, データ管理責任者, DM, CRC)①情報収集薬剤入手8 9 10 11 12 2 3・8月~ 11月 TEPADIARの入手可能代理店の検索・8月~ Adienne社との接触を模索・8/10 治験企業と面談②・7/14 治験企業と面談①・1/9 手続き合意・12/30 文書にて提供依頼無償提供について交渉米国でAdienne社社長と面談・12/3-62016.7 2017.1図2チオテパを用いた患者申出療養の申請までの経緯