ブックタイトルカレントテラピー 37-2 サンプル

ページ
27/36

このページは カレントテラピー 37-2 サンプル の電子ブックに掲載されている27ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play

概要

カレントテラピー 37-2 サンプル

Current Therapy 2019 Vol.37 No.2 67代替療法:患者申出療養の実際179療養という新たな制度を利用することで風穴をあけた成果は大きい.希少疾患など対象者が少なく,企業主導の薬剤開発の対象となりにくい疾患などでこの制度が活用され,有望な新しい治療が患者に届けられることを期待したい.一方で,臨床研究として実施する必要があることなどによる課題も認められた.今回の件では,小児科の担当医から患者申出療養について初めて相談のあった2016年7月から告示された2017年5月まで,トータルでは10カ月以上かかっている.初めての経験であり,臨床研究計画書の作成にその半分近くの時間を要した点は改善の余地があると考えているが,薬剤入手を含む情報の整理,特に国内に拠点のない海外の製薬会社と直接やりとりをする場合には臨床研究中核病院が単独で行うにはハードルが高かった.また,臨床研究として実施するという制度であるが,申出を行う患者の立場からすれば,臨床研究で行う必要性というのは理解しにくい面があり,それに伴う費用負担も生じることなどを理解していただく必要がある.また,薬事承認取得・保険収載を目指す制度であることから,そのロードマップを求められるが,最終的に開発を行うかどうかは企業の経営判断も関係するため,臨床研究中核病院の手が及ばない範囲である.今回は,Adienne社がわが国での開発を模索していたという幸運も重なり,話が前進しており,後から振り返ってもかなり綱渡り状態であったことがうかがえる.皆保険制度を崩さない形で制度設計されているために条件が合致した場合にしか実施できない面があり,患者申出療養という言葉から連想されるように“患者が希望すればすぐに実施できる”とは限らない.また,患者申出療養のデータは,薬事申請の際に参考データとして使用することは可能かもしれないが,審査データとすることは難しいと思われ,実施する臨床研究中核病院の準備や実施の負担が大きい割には薬剤開発過程における役割は小さいと言わざるを得ない.今後さらに個別の患者の希望に応える制度をつくるかどうかは議論のあるところであるが,患者申出療養が制度として始まったからには,臨床研究中核病院などの当事者はこの制度をよく理解したうえで,個々の案件について適応できるかどうかを総合的に判断し,可能な場合には少数ではあってもうまく活用していくことは大切なことだと考えている.今回の件では,Adienne社との交渉のなかで,患者申出療養制度を用いてきちんとした臨床研究の枠組みで行うということで薬剤の無償提供に結びついたという側面もある.チオテパの国内における製造販売承認申請を大日本住友製薬が2018年7月3日付で行った6).今回の患者申出療養で使用した製剤とは別の製剤であり,国内企業の開発が先行したためAdienne社がわが国での承認申請を行うかどうかは不透明な状況となったが,企業治験に参加できない患者に対し,薬事承認まで待てないという状況のなかで,薬事承認までのブリッジングとして患者申出療養を利用してチオテパを投与することができた意義は大きいと考えている.まさに患者申出療養でしか実現できなかった症例であり,患者申出療養制度の良き前例となるものと期待している.参考文献1)未承認薬・適応外薬の要望(要望番号;Ⅱ-125.1日本血液学会)(https://www.mhlw.go.jp/topics/2012/03/dl/youbousyo-153.pdf)(2018年12月閲覧)2)未承認薬・適応外薬の要望(要望番号;Ⅱ-125.2日本造血細胞移植学会)(https://www.mhlw.go.jp/topics/2012/03/dl/youbousyo-154.pdf)(2018年12月閲覧)3)未承認薬・適応外薬の要望(要望番号;Ⅱ-125.3日本リンパ網内系学会)(https://www.mhlw.go.jp/topics/2012/03/dl/youbousyo-155.pdf)(2018年12月閲覧)4)患者申出療養とその他の保険外併用療養費制度について(厚生労働省ホームページより抜粋)(https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou -12400000-Hokenkyoku/0000118805.pdf)(2018年10月閲覧)5)Dunkel IJ, Boyett JM, Yates A, et al:High-dose carboplatin,thiotepa, and etoposide with autologous stem-cell rescue forpatients with recurrent medulloblastoma. Children’s CancerGroup. J Clin Oncol 16:222-228, 19986)大日本住友製薬ニュースリリース(2018年7月4日)(https://www.ds-pharma.co.jp/ir/news/pdf/ne20180704.pdf)(2018年12月閲覧)