ブックタイトルカレントテラピー 37-2 サンプル

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カレントテラピー 37-2 サンプル

74 Current Therapy 2019 Vol.37 No.2186Ⅰ 先進医療制度の概要と現況新しい医療技術が提案された場合,要求される水準はさまざまではあるがその技術の有効性,安全性を評価し,臨床的な有用性が確認されなければ一般的な医療行為として認識されることは困難である.医薬品や医療機器に関しては,治験等のデータに基づき「医薬品,医療機器等の品質,有効性及び安全性の確保等に関する法律」(薬機法)に基づく承認がなされること,そのために治験の実施方法等が厳密に定められていることは広く知られている.しかし医薬品,医療機器等の薬機法による規制のかかる医療技術でないものは,何の評価もなされないままに臨床現場に導入されるわけではない.先進医療制度とは,そのような現時点では保険診療として認められていない医療行為のうち一定の条件を満たすものを「評価療養」すなわち,保険給付の対象とすべきものであるか否かについて評価を行うことが必要な療養としてあらかじめ特定された保険医療機関での実施を可能とする仕組みである.現在の先進医療に関する制度は,2012年10月に,それまで2008年より実施されてきた旧先進医療制度(狭い意味では第2項先進医療を,広い意味では第2項先進医療と後述の第3項先進医療とを含む制度全体を指す),旧高度医療評価制度(第3項先進医療)を統合した制度であり,先進医療Aと先進医療Bという区分からなる.現在は保険診療として実施できない医療技術ではあるものの,将来保険診療に導入されること目標として個別患者への実施経験あるいは臨床試験を通して評価することを保険外併用療養費の枠組みの下で可能とする制度となっている1).この先進医療制度によって,すでに保険診療として実施できる医療の部分は保険診療として実施しつつ,評価段階にある新規医療技術部分の費用を自己負担として実施できる.保険診療として実施すると* 国立研究開発法人国立がん研究センター研究支援センター生物統計部部長先進医療柴田大朗*本邦の国民皆保険制度の下では,保険診療として認められている医療行為といまだ保険診療として認められていない医療行為とを同時に行うことは原則として認められていない.ただし,一定の条件を満たす場合にはこれが認められる.そのようなひとつの類型が先進医療制度であり,現時点で保険診療として認められていない医療技術を将来の保険診療への導入を目指して評価するとの枠組みの下で一定の条件を付して「評価療養」として,既存の保険診療下で実施可能な医療と併用して実施することを認める制度である.現行の制度は,旧高度先進医療,高度医療・先進医療の流れを汲み,2012年に大幅な制度変更がなされている.本稿ではこの先進医療制度の概要について概説する.先進医療の現況と展望─ 先進医療制度の今後の展望